Q&A コーナー
  アニマルウエルフェア連絡会

※お問合せへ、概略のみですがご案内いたします。2009.h21.10.02up〜※この頁の内容は、随時不定期に更新されることがあります。

【緊急災害時動物救援マニュアル】

●関連情報のメールマガジンは(クリック) →|どーぶつネットにゅーす| バックナンバーより
●平成21年10月2日発行のメールマガジン「緊急災害時動物救援本部」に関連した情報の頁です。

●そのほかの関連情報は…
 ・|平成16年新潟県中越地震動物救済|(ご参考)
 ・|緊急災害とアニマルシェルターについて|(ご参考)
 ・|東京三宅島噴火災害|(ご参考)


■◇■◇■◇■ ●茶色文字は、メールマガジンへの注釈や加筆部分です。
 各自治体が独自の方法で、緊急大規模災害時の被災動物対策マニュアルを作りはじめました。多くの場合は避難所に避難する人に、動物の同行を認めることを前提にする仕組みです。同行避難してからのことがらは、それぞれの自治体の判断で考えられているようです。
 各自治体が災害時動物対策を考える際の裏付けとなっている組織が「緊急災害時動物救援本部」といわれます。

■◇■◇■◇■
 「緊急災害時動物救援本部」は、東京都の「地域防災計画・動物愛護」を参考に、2000年の北海道有珠山噴火災害と東京三宅島噴火災害の経験に基づいて確立しました。
 財団法人日本動物愛護協会が主体となり、政府公認の公益法人、(社)日本動物福祉協会、(社)日本愛玩動物協会、(社)日本獣医師会、(社)日本動物保護管理協会の5団体などで構成されます。実際には、災害対策本部の置かれる都道府県の動物所管と上記5団体の当該自治体の支部も含まれます。
 北海道と東京の例では、道と都の愛護動物所管と北海道獣医師会や東京都獣医師会、獣医師会区市町村支部を含む上記各団体の自治体支部などで運営されました。
(※注1. 地域と密接な関係の地元獣医師会支部等の意向が反映する事態が多くなります。)
 同本部が確立される前の1995年兵庫県南部地震では、某公益法人阪神支部が関わった被災動物の終生飼養か致死処分かの対応について物議が起こりました。
(※致死処分を取り入れた対策が紛糾し、事後まで影響を及ぼしました。)

■◇■◇■◇■

 「緊急災害時動物救援本部」は、政府公認5団体と同団体の自治体支部の活動を、災害対策本部の置かれる都道府県が承認して関与しながら形にする「民間組織」といえます。
(※厳密には、国の災害対策本部と別個の組織ですが、該当の自治体所管と極めて緊密に連携します。)
 そこに大きな落とし穴が・・・・・

■◇■◇■◇■【第一の落とし穴】
 従来の事例を振り返る時、人命のために国が決める災害対策本部は緊急大規模災害発生とほぼ同時に設置されるか、同じ機能を自治体などがタイムリーに果たします。
 被災の現地にシェルター機能を持つ緊急災害時動物救援本部が設置されるまで、用具や機材設備などの搬送もあるため、数日の期間を要します。災害発生時に飼い主と避難所に同行できるペットなどの愛玩動物のほかに多くの動物が被災し、置き去りや放任される愛護動物は多数です。加えて、動物救援本部の対象動物は所有者などの明確な愛玩動物を主体にします。
 自治体の「被災動物マニュアル」が災害基本法に準拠した条例ではなく、単なるガイドブックですから、人命救援に出動する公的機関の自衛隊などの救済対象に動物が加えられないため、やむを得ず放任される動物がいます。
 また災対本部宛の災害義損金を動物救済に流用できないため、従来は(財)日本動物愛護協会や地元獣医師会などが災害ぼっ発から数日後に口座を開設して動物救済義損金を集約していました。
(※被災ペットマニュアルでは、避難所にペット用のスペースを設定し、場合によってはケージなどを配備しておく程度しかできません。避難動物の保護や管理の主体は役人や公設のレスキュー隊ではなく、避難者の自発的な意志によるもの…と解釈した方が無難です。従来は「人命優先」に阻まれ、動物救援が異端者と思われる向きもありました。災対本部とは別途の、動物救済本部シェルター設置以後は保護管理も組み込まれます。)

■◇■◇■◇■【第二の落とし穴】
 特に市区町村の「被災動物マニュアル」には、マニュアルを策定する自治体の役人と、狂犬病予防注射などで昭和25年から緊密な関係にある、地域の獣医師会支部の意向を取り入れざるを得ません。(注1.参照)対象とする動物は所有者や占有者のいる愛玩動物=ペットに限られ、自治体の被災動物マニュアルは、被災者と同伴する「所有者の明確な愛玩動物」だけが対象になってしまいます。
 従来の事例では、災害発生から動物救済本部が機能するまでの期間に放任された愛護動物や、本部の対象から外れた飼い主の不明な動物などの救済にあたる「本部に属さない部外の人々」が必ずレスキュー活動をしていました。
(※動物救済本部の構成員には、動物を一義的に「命あるもの」とする考えよりも「動物が人のために働き人の役に立つ」などの立場に傾倒する勢力も含まれます。このため、救済本部の救援対象動物と、人々の助けたい動物が異なる場合があります。本部が対象とする救援時期や地区、動物種などに該当しない動物を救援する人々が、本部機能を活用できないままそれぞれに行動します。)

■◇■◇■◇■【第三の落とし穴】
 仮に「部外ボランティア活動」とする非公認レスキューは、動物救済本部が稼動する前から行動し、飼い主のいるペット以外も対象にします。災害発生直後から、数頭〜数十頭程度ほどの部外私設シェルター(個人のお宅などやそのほか)が緊急に稼動し、保護管理や譲渡のほか放任動物の擁護を積極的に行います。同本部は稼働後も部外ボランティアを組み込まないのが通例です。
 同本部は数カ月程度の一定の期間で解散し活動報告が公開されますが、その中に「部外ボランティア活動」の詳細の報告はありません。部外ボランティアは愛護動物の終生飼養を原則としますので、適切な譲渡の機会が見つかるまで保護管理が動物の一生涯に及び、一部では現在も未だ続きます。
 これら部外ボランティアの動物レスキューについての活動報告が集約されることもありません。動物救済本部から部外レスキューに対して義損金や物資、人員などの支援も原則としてありませんので、本部から事後に報告される内容が、もちろんすべての被災当事者や動物や時期を対象としたものともいえません。
(※一部では大規模災害の動物救援には十分な支援の金品が集まり、一定期間内で適切な動物擁護が行われるなどと風評され、事後の報告書で裏付けられているように思われています。過去の事例を振り返っても、多くの部外ボランティアのレスキューが本部と相応の資金力などの下で行われた事実はありません。)

■◇■◇■◇■
 地方自治体は緊急災害時動物救援本部を根拠に、被災動物対策マニュアルを作ります。その際に、同本部稼動以前の非公認レスキューと、部外ボランティア対策を組み込めないとき、今迄と同じように被災現場の混乱を避けられません。
 ペットが避難所に同行できる仕組みは評価できますが、放任される動物対策マニュアルがありません。近年はペットと呼ばれる動物も多種です。取り残された動物の救援に加えて、放任される動物が人を侵す恐れを前もって防ぐ対策にも配慮が必要です。
 各自治体の「被災動物対策マニュアル」が、救援対策本部に関わる事後報告書だけに基づく場合に、現実には多くの混乱が想定されます。
(※自治体条例でアニマルレスキューを制定した例は未だありません。人のライフラインは優先しますが、動物も時系列的には同じタイミングで被災します。ペット動物だけを対象とするだけではなく、時間差のない「被災動物対策マニュアル」が望まれます。)

■◇■◇■◇■
【避難所動物救護マニュアルの参考例・→
もくじの頁(画像)10.4.up



2009.08.(無断転載はご容赦ください。)

AWN Q&Aもくじへ戻る
関連記事は、AWN どうぶつネットにゅーす
 → バックナンバー
------------------------------------
 
アニマルウエルフェア連絡会 
This page, and all contents, are Copyright "A.W.N. ".
このページの著作はアニマルウエルフェア連絡会に帰属します。