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【緊急災害時対策とアニマルシェルターの関係・主にペットと呼ばれる動物たちについて】

●緊急災害時のアニマルレスキューについて|こちら|(ご参考)

●アニマルシェルターについて|こちら|(ご参考)


 災害基本法に「アニマルレスキュー」が取り入れられたとき、動物に係わる多くの社会問題の解決が近付きます。

 昨今は、「動物を人の役に立たせ、人のために働かせる」などの風潮が強くなっています。各種ペット関連産業の隆盛や、主に使役犬の増加なども顕著な例です。それらの抑止対策のひとつとして、生物多様性国家戦略も、新しい法律で作り込まれました。

 動物を人の役に立たせ、人のために働かせる風潮が強くなると、その数に比例して、人の手から放される余剰動物も増えます。

 現在、余剰動物対策の方法として、狂犬病予防法によって作られた致死処分施設が利用されています。
 動物愛護法に準拠して、余剰動物といえども「飼養希望者の発見や、生存の機会を与えられる」ための仕組みを整えた公的な施設(つまり、アニマルシェルター)は、ないといえます。

 1つめの課題。
 災害基本法にアニマルレスキューを取り入れるために、自治体がアニマルシェルターの機能を平常時から持っていなくてはいけません。緊急災害時に「民間依託」では、とても対処が困難です。
 現在は国も積極的に、動物を愛おしむ者たちの、アニマルシェルター開設や運営に関心を示しています。しかし、先ずその前に、法や条例によって「アニマルシェルターシステム」が取り決められていなければ、緊急時に行政措置も行えません。
 災害時の被災動物対策は、いつもその都度緊急に設定される、公益性を持つとする市民組織などに委ねられるため、放置され放浪を始める動物たちも出てしまいます。新潟県中越地震では、動物救済が発表されるまで、数日間もかかりました。

 2つめの課題。
 災害基本法にアニマルレスキューを取り入れるためには、生物多様性などにも適切な知識を持つ「動物の飼い主」が欠かせません。国や自治体は、平常時より動物の飼い主や動物を取り扱う者などに対する、極めて強い指導や規制を含む「普及や啓発」をしなくてはいけません。
 国や自治体は、動物と人との適切な関係づくりを、社会の愛玩動物嗜好や風潮に基づくばかりではなく、社会環境や自然環境に心配りしながら、命ある動物との適切な関係づくりのための普及啓発に努めることになります。
 平常時より、余剰動物を出してはならないことの徹底するときに、自ずと被災動物の命の尊さを多くの人々も知っている社会になっています。そのような社会では、法にアニマルレスキューを取り入れることも容易になります。

 3っつめの課題。
 平常時より、極めて適切に動物を取り扱える飼い主や事業者の多い時、動物が立ち入りを控えさせられる場所も減少していると考えられます。
 緊急災害時に避難所となる施設は、平常時より動物の立ち入りに精通していなくてはいけません。得に、教育機関等は平常時より、学校飼育動物を利用する動物生態学習を超えて、命ある動物と人との適切な関係づくりの教育の場になっていなくてはいけません。

 社会の風潮が、単に「動物が人のために働き、人の役に立つもの」などの位置付けから、「動物が命ある」とする気運に高まったとき、災害基本法にもアニマルレスキューを取り入れることができます。
 災害基本法にもアニマルレスキューの取り入れられる時代は、致死処分施設もアニマルシェルター機能を備えた施設に変わっていることと思われます。
 また、平常時のアニマルシェルターが「余剰動物収容施設」になってはいけません。余剰動物を生み出しているのも人間です。

 課題の整理
 「人と動物との、極めて適切な関係づくり」の果たされる社会が、動物の命を継続し、動物と「すてきな共生」のはかれる社会と考えられます。

 平常時から、人も動物も共に暮らせる社会や、動物の一生涯の保証される環境を、人たちの努力で作りあげるとき、緊急災害時であっても、人も動物もその命を尊ばれることとなります。

 



2004.10.(無断転載はご容赦ください。)

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