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h29.12.17更新

動物基本法と動物愛護法改正について

 私は法律の専門家ではありません。法律家の言う「人々が必要とするとき、使う人が使い易い法律が作られる」という原則の一つに基づいて、法律を使う人の立場から考えています。

 動物愛護法は概ね5年を目途に見直せることになっています。その改正の時期にいつも大きな話題になるのが現行法第44条の罰則の低さ、可罰的違法行為の量刑の小ささです。
 いつも話題になるのはどうして?の疑問については、法律や動物に造詣の深い有識者といわれる方々が個人の立場という条件の下で従来より言及しています。

 ●そのほんの一例ですが・・・
 昭和48年に施行された動物愛護法(旧同保護法)に「ノネコ」という定義は無く、猫は所有者や占有者がいない野良猫も法で守られる「愛護動物」です。従って殺そうとするヒトや殺したヒトが法の下で罰せられます。
 昭和24年当時の旧農林省は、野良猫からヒト社会への侵害を防ぐため、「ノネコ」という名称の定義を生物学的、動物学的など専門的学術的な根拠のないままに、恣意的に「種」までねつ造し、鳥獣保護法(但し略称・通称)の狩猟鳥獣(駆除、防除、狩猟などの対象動物)として定義し、ヒトが猫を殺せるように細工した名称を付し、同法に取り入れました。
 (※概略の過去ログは http://nekodasuke.main.jp/fact/fact_noneko.html )

 法律家は「法は新しいものが優先」ともいいますので、現行法の優先順位では、野良猫などのイエネコ種に由来する「仮にノネコと呼ばれる猫」であっても「ヒトが殺せない“愛護動物”」です。
 ちなみに旧農林省の名付けた通称「狩猟鳥獣のノネコ」は、ヤマネコ種に由来するツシマヤマネコとイリオモテヤマネコだけを当てはめる場合に合理性があります。

 法の下での合理的な整合性をはかる場合に、動物愛護法だけに注目して動物をとりあげることに無理が生じ、法を使う国民に混乱が生まれます。
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 動物を対象とする主務所管は愛護動物や狩猟鳥獣の環境省だけではなく、動物をヒトが使う事態に応じて、文化・スポーツ・食肉・畜産・流通・教育・災害などやそのほか多岐に及びます。
 「動物が命あるもの」という法の精神は動物愛護法に少しだけ取り入れられているのみです。ヒトの命に値札は付きませんが動物には値札が付き、ヒトのために働き、ヒトの役に立つモノと位置づける分野があります。
 ヒトの命は観念的に哲学で守られることなどは、憲法や法律にも取り入れられている筈です。冒頭のように私は専門家ではありません。感覚的にそのように感じるのですが、動物の命を守るための「憲法」もわかりやすい法律も我が国にはありません。
 そこで、猫を弱らせる、傷つける、殺すなどのヒトに対して、少なくともその事を良く思わない立場に立ったほんの少しの勢力分野から、動物愛護法の罰則が施行されているように思われるのです。
 その事について良いも悪いもあるいは法の施行にもあまり関心がない多くのヒトの勢力分野に、この遵法をきつく厳しく強いるには当然無理が生まれ、すべての国民に公正、平等、公平などを考えるとき、大きな罰則にも腰が引けています。

 ●続:そのほんの一例ですが・・・
 十数年前の数々の大規模災害の際に、ヒト以外の命ある動物が国や自治体の公的な大規模緊急災害救援システムの適用から外され、多くの国民が混乱しました。
 その後の災害基本法に基づく地域防災計画に「動物」を取り入れる自治体が増え、公的な災害対策本部でも動物レスキューが可能になりました。
 それ以前は原則として、例えば自衛隊や消防、警察なども被災動物に関われなかったので、公的と紛らわしい政府系法人組織などが民間の動物救援本部をその都度立ち上げていました。
 現在は法や条例を根拠に、各自治体単位でも公式に被災動物救済ができるように変っています。勿論、この仕組みを取り入れていない自治体や、仕組みがあっても執行できないことが多いです。
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 ●さらに続:そのほんの一例ですが・・・
 最近では平成20年に生物多様性基本法が公布され、平成16年の「外来生物法・略称、通称」が平成25年に改正公布されています。ここでもそれまでは無かった動物愛護法の愛護動物にも関わりを持っているようです。
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【結論】
 動物愛護法の可罰的違法行為や、適切な飼育管理などについてきつく厳しく改正が望まれることは勿論です。一方の鳥獣保護法では殺そうとする猫が、動物愛護法では命あり守られる猫というような、極めて整合性に欠けている法体系をなくする為には「動物が命有るもの」とする「動物基本法」が求められます。
 しかし、動物に値札を付け「動物がヒトのために働き、ヒトの役に立つモノ」とする経済社会の巨大な勢力分野や、マスコミやジャーナリストを始め、そのような風潮に属する人々が国民の大多数を占めています。
 従って、倫理的且つ人道的にまた哲学的な良心に基づく「動物が命あるもの」とする「動物基本法」の制定については、学術的有識者であってもその個人のお考えの領域だけで終始しています。

 ネコノミクスなどと煽りたて、猫による数兆円の国内経済規模の創造などの風潮気風の高揚や、気運への誘導を謀り続ける経済社会の勢力分野を、ことさら苦々しく思うところです。

 災害基本法をもとに愛護動物のレスキュー施策が可能になり、生物多様性基本法で外来動物にさらに強い規制が行われ始めたように、「動物基本法」を公布して「動物が命あるもの」を取り入れない限り、ヒトの都合に頼る現行法の部分的な改正は欠かせませんが、またその法に多くを望める道理もないものと思われるのです。

【あとがき/結論に至る裏付けの一つとして・・・】
 古い話で恐縮です。当時、強い影響力を持つ自治体の動物担当所官組織から「出来る訳けがない・・・」といわれていました。飼い主のいない野良猫をこれ以上増やさないための適正飼養や終生飼養管理などと、繁殖制限の普及啓発や実行に加えて、生憎飼い主のいない猫になってしまった猫を、ヒトが守りかばえる保護擁護の方法の一つとして、猫の棲む地域環境の保全にからめた「地域猫対策」という言葉で行い始めてから、約15〜20年経った現在は、法律にも「地域猫対策」が取り入れられました。(※動物愛護法基本指針など、但し略称・通称より)

 この先何年か後には「動物基本法」の公布も想定の範囲と思われます。「人々が必要とするとき、使う人が使い易い法律が作られる」・・・という法律専門家の言葉を尊敬したいと思うのです。

 2017年 平成29年12月 アニマルウエルフェア連絡会共同代表 きやつねと


since2017.12.(無断転載はご容赦ください。)



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