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(中野区ホームページより)ご意見等の提出方法 公表された案に対する具体的な意見(修正を求める場合はその理由も)を提出してください。意見は、公表された案に沿って具体的に述べてください。単に「賛否」のみを記載した意見は、パブリック・コメント手続による意見とみなされませんのでご注意ください。
中野区の条例案 【意見の例】

案件番号09-04
「(仮称)中野区動物の愛護の促進及び適正な管理に関する条例」に盛り込むべき主な項目と考え方(案)

【意見-1】条例の名称を「中野区動物の愛護及び管理に関する条例」に変更修正することを意見とします。

〈理由〉『憲法第94条 [地方公共団体の権能]地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。』とされ、東京都でも条例の根拠法である「動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動愛法とします。)」に従った「東京都動物の愛護及び管理に関する条例(以下、都条例とします。)」としています。
 中野区が、動愛法や都条例や狂犬病予防法やそのほかの関連法規を適切に執行してもなおかつ、中野区民が必要とする独自の条例が必要だとするならば、名称は区民の理解を得やすい根拠法令に準ずるべきです。


1 総則
1−1 条例の目的
 この条例は、家庭等における動物の飼養が青少年の豊かな情操をはぐくむとともに人々を癒(いや)すことを踏まえ、動物の愛護の促進及び適正な管理に関し、区及び区民の責務を明らかにするとともに、動物の飼養等を行う者の遵守事項を定めることにより、動物の愛護、及び動物の飼養等と良好な生活環境との調和を図り、もって動物の飼養等に関する地域住民の相互理解を増進し、動物の飼養等を受け入れていく地域社会を築くことを目的とする。

【考え方】
○ この条例は、区内における動物の飼養、保護や世話をめぐり、区民相互の理解を広げ、良好な生活環境を守ることを目的としています。
○ 区内では、ペットなどの飼育や飼い主の手を離れた動物をめぐって、周辺住民の苦情やトラブルが後を絶ちません。区民が相互に理解し合い、共に暮らしていける地域社会を実現していくためには、動物の飼養、保護や世話をする者がルールを遵守し、他方、周辺住民は飼い主の気持ちや動物愛護の気風を理解していく必要があります。
○ 区は、動物の適正な飼養や管理を推進していくために必要な普及啓発や、飼い主のいない動物の繁殖防止への活動支援、犬に適正かつ安全に散歩させるなど環境整備、災害時に向けた対応などの課題に取り組みます。
○ そこで、条例の目的に、ペットなどとの触れ合いが人々の生活に欠かせない存在になっていること、動物を適正に管理することについて区や区民の責務を明らかにし、飼い主等が守るべきルールを定めることにより動物の愛護を促進すること、動物飼養と生活環境との調和や区民相互の理解を広め、動物の飼養、保護や世話を受け入れていく地域社会を実現することとしています。

【意見-2】『1 総則1−1 条例の目的』を次の「」内に変更修正することを意見とします。

 「この条例は、動物の愛護及び管理に関し必要な事項を定めることにより、区民の動物愛護の精神の高揚を図り、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止し、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにし、もって人と動物との適切な関係づくりに資することを目的とする。」

〈理由〉動物は単にペットと称される家庭動物だけではなく、区内でも多彩な分野で人のために役に立たせられ働いています。人を癒すだけの愛玩動物に限らず、区内でこの条例の対象となる動物は動物取扱業の商用目的などのほか多種の分野に多数います。すべての動物を対象にし、大多数の区民が必要とする条例を目指すことが第一の理由です。
 条例の根拠となる動愛法では『(地方公共団体の措置)第9条地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について、《動物の所有者又は占有者に対する》指導その他の必要な措置を講ずることができる。』とされています。※文章中に《 》括弧マークを追加。下も同じ。
 この条例が「法律の範囲内」という憲法の条件を満たすとき、条例の対象は動物の所有などの権利を持たない「飼養等を行う者」ではなく、権利と義務を合わせ持つ《所有者又は占有者》を、明確な対象にすべきことが第二の理由です。


1−2 用語の定義
 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 飼い主 動物の所有者及び占有者をいう。
(2) 飼養等 動物を飼い養うこと及び飼い主のいない動物の保護及び世話を行うことをいう。

【考え方】
○本条例において使用する用語のうち、「飼い主」及び「飼養等」について、内容を定義しています。

【意見-3】『1−2 用語の定義』の『(2) 飼養等』の項目を削除することを意見とします。

〈理由〉意見-2と同じく条例の根拠となる法律では『(地方公共団体の措置)第9条地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について、動物の所有者又は占有者に対する指導その他の必要な措置を講ずることができる。』としているため、条例でも動物の所有者又は占有者に対する指導その他の必要な措置を講ずるべきです。

 飼い主のいない動物の保護や世話を行う態様などから判断して「動物の所有者又は占有者」の権利義務を与える権限が区にはありません。

 飼い主のいない動物の保護や世話を行う態様や、その行為との因果関係などから「動物の所有者又は占有者」を証明することは民事の分野であり、飼養等を「 飼い主である動物の所有者及び占有者」と同義に定義する場合は、行政の民事不介入を侵します。



1−3 区の責務
 区は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48 年法律第105 号)及びこの条例の目的を達成するため、次に掲げる施策を講ずるものとする。
(1)  飼い主が犬に適正かつ安全に散歩、運動等をさせることができるような施設及びその他の環境を整備すること。
(2) 災害時に飼い主が動物を適切に保護し、救護し及び避難させるために必要な避難所その他の条件を整備すること。
(3) この条例に定める動物の適正な飼養等に関する啓発及び区民の理解の促進に必要な事業を実施すること。
(4) 飼い主のいない動物の繁殖を防止するための活動に対する支援を行うこと。
(5) 動物の飼養等に起因する悪臭や騒音等により生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、動物の飼養等を行う者に対する指導その他の必要な措置を講ずること。

【考え方】
 動物の飼養等に関して、区としての施策を展開していくべきことを定めています。
1.戸 外で適度な運動をさせるための環境整備として、区立公園への犬との入園などを可能にしていくための必要なルールづくりなどを講じていきます。
2.飼 い主が災害時において、動物を安全に、また周囲の人に迷惑が及ばないように、保護や救護、避難をさせられるよう、避難所における避難のルールづくりをはじめとした条件整備を講じていきます。
3. 区は、飼い主のいない動物の保護や世話を行っている人へ、適正に管理を行ってもらうための普及啓発を行っていきます。
 飼い主のいない猫については、保護や世話をする団体などの活動は地域の方々の理解を得ていくことが必要であり、区は必要な普及啓発事業を行って参ります。
4. 区 では、飼い主のいない猫の繁殖防止のため行われている活動について不妊去勢手術を行った場合には、その費用の一部を助成していくなどの支援を行います。
5.ペットなどの飼養等に伴い発生する糞尿、悪臭や騒音等の苦情に対し、区では、良好な生活環境を守るため、原因者に必要な指導等を行っていきます。

【意見-4】『1−3 区の責務』の(1)(2)(3)(4)(5)の全部の項目を削除することを意見とします。

〈理由〉(1)〜 (5)の項目の内容は、特別に条例を制定しなくても既存の法規などを根拠に、区が必要な措置を講ずることのできる内容です。

 災害時の救護についてはこの条例とは別途に、災害基本法に基づく動物救護の定めのない場合に、国などと共に設置する災害対策本部の救護活動の対象に愛護動物が加えられません。この条例案では、例えば自衛隊などの救護活動にも愛護動物が対象になる、などとの誤解を生じさせます。

 動物の所有者又は占有者の、多数の動物の飼養又は保管に起因して周辺の生活環境の損なわれている事態については、動愛法第25条で罰則がありますので、重複する条例は必要ありません。

 『憲法第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。』の「罪刑法定主義」を「基本的人権を守るためにも刑罰になる行為は予め明確にどの行為が罪になるか明らかにしなければならない。」などと解説されます。

 所有者又は占有者のいない動物の飼養者責務の立件が行政の民事不介入を侵し、どのような飼養の態様が予め明確な犯罪になるのかが不明瞭なままでの指導や勧告や命令や罰金に処すなどの措置は、憲法の精神と異なります。


1−4 区民の責務
 区民は、動物の愛護の趣旨を理解し、動物の飼養等を行う者とそれ以外の者との相互の理解を深めるよう努めるものとする。

【考え方】
 ペットなどの動物と共生する地域社会をつくっていくためには、飼い主等と区民とが動物愛護の精神や生活環境の保全について、相互に理解し合うことが大切であるとの考え方を定めています。

【意見-5】『1−4 区民の責務』の全文を次の「」内に変更修正することを意見とします。

 「区民はお互いに、動物愛護の精神の高揚を図り、動物の健康及び安全を保持するとともに、自己の所有し又は占有する動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止し、動物が人に迷惑を及ぼすことのないよう努めるものとする。」

〈理由〉意見-2と同じく、条例の根拠となる法律で「地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について、動物の所有者又は占有者に対する指導その他の必要な措置を講ずることができる。」としているため。


2 動物の適正な飼養等
2−1 飼い主の遵守事項
1.飼い主は、近隣住民の理解を得られる方法で動物を飼養するよう努めるとともに、動物の飼養に起因する悪臭や騒音等により周辺の生活環境を損なわないよう配慮しなければならない。この場合において、共同住宅に居住する飼い主は、共同住宅の特性に配慮しなければならない。
2.飼い主は、動物をその終生にわたり飼養するよう努めるとともに、当該動物を遺棄してはならない。
3.飼い主は、災害時における動物の適正な保管及び事故の防止に努めなければならない。

【考え方】
 ペットの飼養の問題は、飼い主の問題とも言われ、飼い主に対し飼養ルールの遵守を求め、周辺住民への迷惑を防止していくことが必要です。また、飼い主は、飼養について近隣住民の理解を得られるよう日頃から心がけ、飼養している動物の鳴き声や糞尿、飼養に伴う悪臭により周囲に迷惑をかけないよう、周辺環境への配慮に努めなければなりません。
 ペットの飼い主に対し、一般的な遵守事項のうち特に守らなければならない内容、及び中野区の地域特性から配慮してほしい事項について定めています。
1  区への苦情で多いペットの飼養に伴い発生する悪臭や鳴き声により、周辺住民に迷惑をかけないよう配慮を求めています。また、昨今、共同住宅においてペットの飼養を認めるところが広がりつつありますが、区内にはアパートやマンションが多数存在することから、共同住宅に居住する飼い主に対しては、共同住宅の特性をふまえた飼養上の注意を促すものです。
2  飼養している動物については、終生にわたって飼養しなければならないこと、飼養している動物の遺棄は決して、してはいけないことを明記しています。終生飼養の責務については「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」に規定があり(第5 条第4 項)、また、動物の遺棄に対して罰則を科すことについては「動物の愛護及び管理に関する法律」で規定する(第44 条第3 項)ところです。区内には、飼い主の手を離れた猫やその子孫が多数存在することから、本条例でも特に遵守すべき事項として規定しています。
3 飼い主は、災害時において動物が逸走しないように、例えばケージに入れて適正に保管することや事故に遭遇しないように注意するなど、努力義務を定めています。

【意見-6】『2−1 飼い主の遵守事項』の全部の項目を削除することを意見とします。

〈理由〉あえて新しい条例がなくても、動愛法や都条例やそのほかの関連法規に準拠して、措置を講ずることのできる事項ばかりです。

 これらに反してなんらかの弊害の起こっている場合には、行政の現行法規等の執行あるいは実行の不作為を追求されます。


2−2 犬の飼い主の遵守事項
1  犬の飼い主は、公共の場所で犬に散歩、運動等をさせるときは、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
 1.犬を制御できる者が犬を綱、鎖等で確実に保持すること。
 2. 犬の糞を持ち帰ること。
 3. 犬の尿を適正に処理するよう努めること。
2 犬の飼い主(所有者に限る。)は、狂犬病予防法(昭和25 年法律第247 号)第4 条第1 項の規定による犬の登録の申請を遅滞なく行うとともに、同条第2 項の鑑札を確実にその犬に着けておかなければならない。
3 犬の飼い主は、狂犬病予防法第5 条第1 項の規定により狂犬病の予防注射を毎年1 回受けさせるとともに、同条第2 項の注射済票を確実にその犬に着けておかなければならない。

【考え方】
 犬の飼い主に対し、周辺住民への安全を守り、迷惑を防止する観点から、必ず遵守すべき事項を規定しています。
1 道路等の公共の場所で、犬に散歩等の運動をさせる場合の規制内容を定めています。
  1. 引き綱などリードを着けずに敷地外へ犬と同行することは、東京都動物の愛護及び管理に関する条例により、罰則が適用になります。しかし、依然としてルール違反の飼い主が散見されることから、本条例でも犬の飼い主の遵守事項として規定します。
  2.飼い犬と外出する際には、飼い主は犬の糞を処理する器具を携行しなければなりませんが、糞を放置したまま通過する飼い主が後を絶たないことから、糞の適正な処理を犬の飼い主の遵守事項としました。指導に従わず、勧告、命令に違反した者には、
本条例による罰則の適用があります。(後述3−3,5)
  3. 犬は、尿の臭いにより縄張りを示す習性(マーキング)がありますが、周辺住民にとっては不快なものです。飼い主のマナーとして、尿にはペットボトルなどで用意した水をかけるなど、適切な処理を努力義務としました。
2 犬の所有者は、狂犬病予防法に基づきその取得した日(生後90 日以内の犬を取得した場合には生後90 日を経過した日)から30 日以内に犬の登録申請をしなければなりません。(同法第4 条)しかし、犬の登録数は実際に飼養されている犬の数と大きくかけ離れていると言われています。また、区に登録した場合には、登録していることを示す鑑札の交付を受け、犬に装着しておく義務があります。しかし、鑑札の装着も徹底していないのが現実です。犬の未登録や鑑札の未装着は、狂犬病予防法に基づき罰則の適用があるように、重要な事項です。そこで、本条例では、登録は「遅滞なく」行うこと、鑑札は「確実に」装着することを犬の飼い主の義務として規定しました。
3  狂犬病予防法では、毎年1 回(4 月から6 月の間)必ず狂犬病予防注射を受けさせなければならないことになっています。(同法第5 条)また、予防注射をしたことを示す注射済票を犬の首輪などに装着しておかなければなりません。狂犬病予防注射の未接種や注射済票の未装着は、同法により罰則の適用があります。そこで、本条例では、注射済票を「確実に」犬に装着することを犬の飼い主の義務として規定しました。

【意見-7】『2−2 犬の飼い主の遵守事項』の1.の2.を除くすべての項目を削除することを意見とします。

〈理由〉犬の所有者などへの罰則として、2と3は昭和25年からの長期間に渡りあったにも関わらず、区民に遵守させられなかった理由を、行政の法律等執行「不作為」といえます。

 当計画案は、他に前例を見出せない程法律とまったく同じで、重複する条例計画よりも、現行法を適切に執行するための措置要綱などの速やかな構築と実行が望まれます。


2−3 猫の飼い主の遵守事項
1  猫の飼い主は、猫が疾病に感染すること及び不慮の事故に遭遇すること等を防止して猫の健康及び安全を保持するため並びに周辺の生活環境を保全するため、猫を屋内で飼養するよう努めなければならない。
2 猫の飼い主は、猫が逸走したときに備えて、猫が自己の所有又は占有するものであることを明らかにするため、首輪を猫に着けておくことその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

【考え方】
 猫の飼い主に対して、屋内飼養と身元判明措置を講ずることを規定しています。都会で猫を外飼いすることは、交通事故や感染症のリスクがあり、猫の安全のため屋内飼養を勧めています。また、迷い猫にならないように、首輪やマイクロチップ(個体識別を可能にする電子標識器具。装着は動物病院で行う。)など身元が分かるものを装着することを努力義務としました。

【意見-8】『2−3 猫の飼い主の遵守事項』を「猫の所有者及び占有者と取扱者(以下、猫の所有者等とします。)の遵守事項」に変更修正することを意見とします。

1を次の「」内に変更。
 「猫の所有者等は、感染症の知識を持ち、近親繁殖に起因する疾病を防ぐこと。」

2を次の「」内に変更。
 「猫の所有者等自らによる、意図的な出産予定の猫については、室内での適切な終生飼養が困難である際に、予め繁殖制限を行うこと。」

〈理由〉猫の感染症は、流行種の繁殖を長期間繰り返し続けた海外のキャッテリー(繁殖所)から発見されています。近交繁殖が個体の劣化につながり、猫の健康を侵す恐れを防ぎます。
 猫に係るトラブルは、その生理生態から必然的に起こる極めて強い繁殖力に起因するため、繁殖制限手術が有効とされています。


2−4 飼い主のいない動物の保護等に関する遵守事項
 飼い主のいない動物の保護や世話をしようとする者は、その行為によって周辺の生活環境を損なわないよう配慮しなければならない。

【考え方】
 飼い主のいない動物の保護や世話をしようとする者に対し、区民の良好な生活環境の保全を図るため、保護や世話の行為については周辺の生活環境を損なわないよう配慮義務を課しました。

【意見-9】『2−4 飼い主のいない動物の保護等に関する遵守事項』のすべてを削除することを意見とします。

〈理由〉意見-2と同じく条例の根拠となる法律では『(地方公共団体の措置)第9条地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について、動物の所有者又は占有者に対する指導その他の必要な措置を講ずることができる。』としているため。

 意見-3と同じく、飼い主のいない動物の保護や世話を行う態様などから判断して「動物の所有者又は占有者」の権利義務を与える権限が区にはなく、飼い主のいない動物の保護や世話を行う態様や、その行為との因果関係などから「動物の所有者又は占有者」を証明することは民事の分野であり、飼養等を「 飼い主である動物の所有者及び占有者」と同義に定義する場合は、行政の民事不介入を侵します。


2−5 周辺の生活環境を損なう行為の制限
 動物の飼養等を行う者は、当該動物の飼養等に起因する悪臭や騒音等により、周辺の生活環境が損なわれている事態として規則で定める事態を生じさせたときは、その原因となる行為を中止しなければならない。

【考え方】
 区には、これまで著しい給餌行為に起因したからす等の集散により、多くの苦情が寄せられています。そこで、規則で定める周辺の生活環境を損なう事態を発生させた場合には、給餌等の原因となる行為を禁止します。
 規則では、近隣住民などの生活環境が大きく損なわれ、放置できない状態となっている場合について規定する予定です。次のいずれかの状況が生じている場合とします。
 1 動物の鳴き声、臭気などが著しく環境を損ねている場合
 2 動物が住民に危害を加えたり、家屋や設備を損傷させたりする恐れが大きい場合
 3 ハエや蚊など衛生害虫やねずみ等が発生し生活環境が悪化している場合

【意見-10】『2−5 周辺の生活環境を損なう行為の制限』のすべてを削除することを意見とします。

〈理由〉当条例案の罰則に誘導する「周辺の生活環境を損なう行為の制限」は、「周辺の生活環境の保全に係る措置」として、動愛法第25条に決められた事項の安易な模倣ですが、同根拠法律と基本的な部分で違っています。

 動愛法は「所有者や占有者あるいは取扱者の、法律に背いた明らかな責務違反」が、『憲法第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。』の「罪刑法定主義」を満たしていると判断されます。

 当条例の、所有者又は占有者のいない動物の飼養者責務の立件が行政の民事不介入を侵し、どのような飼養の態様が予め明確な犯罪になるのかが不明瞭なままでの指導や勧告や命令や罰金に処すなどの措置が、「基本的人権を守るためにも刑罰になる行為は予め明確にどの行為が罪になるか明らかにしなければならない。」などと解説される憲法の精神と異なっています。


3 協議のあっせん並びに指導、勧告及び命令
3−1 協議のあっせん
 区長は、動物の飼養等に関する争いがある場合において、その争いを解決し、当事者の相互理解を促進するため必要があると認めるときは、当事者の協議による争いの解決のためのあっせんを行うものとする。

【考え方】
 動物の飼養や保護、世話などにより問題が発生した場合には、動物の飼養等を行う者と苦情者との双方に対し、相手方の状況や考えについてお互いの理解を促し、発生した問題の解決を図るため、必要があると認めるときは当事者双方の間を仲介する援助を行います。

3−2 指導
 区長は、区民がこの条例の規定に違反していると認めるときは、当該区民に対し、当該違反を是正するために必要な指導を行うことができる。

【考え方】
 区長は、飼い主をはじめとした区民等が、飼養等の遵守事項や給餌等の制限の規定に違反している場合には、その行為の中止や改善を行うよう必要な指導を行っていくものです。

3−3 勧告及び命令
1  区長は、犬の飼い主が2−2 1.2.に掲げる事項を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
2  区長は、区民が2−5 の規定に違反していると認めるときは、その者に対し、当該行為を中止すべきことを勧告することができる。
3 区長は、1の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
4 区長は、2の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に従わないときは、その者に対し、その勧告に係る行為を中止すべきことを命ずることができる。

【考え方】
○飼い主をはじめとした区民等が、飼養等の遵守事項や給餌等の制限の規定に違反し、その行為の中止や改善を行うよう必要な指導を行っても、これに従わない場合には文書による勧告を行っていくものです。
○区民等が、動物の飼養等に関し、勧告を行ってもこれに従わない場合には、文書による迷惑行為の中止や措置の命令を行います。
○命令を出す対象者は、次の者になります。
・糞を適正に処理しない犬の飼い主(2−2 1.2.)
・規則で定める周辺の生活環境を損なう事態を生じさせた者(2−5)

4 委任
この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

【考え方】
○条例を運用するための手続きについては、区長が定める規則において定めます。
○具体的には、規定を遵守していないと区長が認めるときに期限を定めて必要な措置をとるべきことを勧告する際に使用する様式や、給餌等の行為を禁止する場合の周辺の生活環境が損なわれている事態を規定します。

5 罰則
1.  3−3 3の規定による命令に違反した者は、30,000 円以下の罰金に処する。
2. 3−3 4の規定による命令に違反した者は、100,000 円以下の罰金に処する。

【考え方】
 命令を出したにも拘らず中止や改善を行わない者に対しては、罰則を科す手続きに移行する場合があります。
 なお、罰則は罰金とします。罰金の最低額は10,000 円以上からになり(刑法第15 条)、100,000 円以下の範囲とします。
 罰金は、刑法で定める刑罰(財産刑)であり、刑事裁判の手続きにより裁判所が科し、国の歳入になります。

 従って【意見-11】は、罰則への誘導を目的にする『3 協議のあっせん並びに指導、勧告及び命令』『3−1 協議のあっせん』『3−2 指導』『3−3 勧告及び命令』以下、『4 委任』『5 罰則』のすべての事項を削除し、次の、3区民との協働、4国等との連携等、に変更修正することを意見とします。


3 区民との協働
 区は、動物の愛護及び管理に関する施策措置等の推進に当たっては、区民等と協働するよう努めなければならない。


4 国等との連携等
 区は、動物の愛護及び管理に関する施策措置等を効果的に実施するため、国、東京都その他の地方公共団体及び公共的団体(以下「国等」という。)と連携を図るよう努めるものとする。

4-2 区長は、動物の愛護及び管理に関する施策措置等の推進のため、必要があると認めるときは、国等に対し、当該施策措置等の推進について協力を要請するものとする。





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2009.12.(無断転載はご容赦ください。)

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