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h26.3.27初版up 徘徊する猫対策について、第三者的立場の代理人のような者からの猫の引き取り申請を受け付け、致死処分を実行しているという自治体についてのお問い合わせがきっかけです。
 当初は動物愛護法(但し略称)35条の「その他の者」からであり遵法、との役所の明解に過った解説でした。再度時を改めた際に、その他の者からではなく、「第三者的立場の代理人のような者」を、「猫の所有者から依頼を受けた、所有者に準じる者」などとし、所有者からの正統な引き取り申請である、などと再度過った解説をされました。
 現場の状況が明らかになるにつれ、このような対応は市民を混乱に導き、根拠法令を執行する行政の措置として極めて不適切と考えられます。あってはならないのですが、類似例をしばしば耳にします。
 所有者占有者取扱者いわゆる飼い主がいてもいなくても、猫は法律上の愛護動物であり、ノネコなどという猫も実はいません。迷惑被害対策の為、餌を与える態様だけから、所有者つまり飼い主を強要することや、拾得できない成猫を捕獲しての致死処分申請はできません。もし、そのような事ができるとする自治体があるのでしたら、是非その根拠法令を条項を示して教えてください。


疑義教示のお願い|.pdf書類、A4判、モノクロ5頁 下記のテキストは左の書類の全文です。



平成  年  月  日
疑義教示のお願い

都道府県知事 市区町村長 殿

  住所 ○○○○○○○○○○○○
名前   ○○○○○○    

 ◯◯(都道府県市区町村)におかれましては、根拠法令等に基づく適切な動物愛護施策執行の推進に感謝申し上げます。
 さて先日、下記の事態が起りましたので、市民の間に疑問が広がりました。貴自治体より適切な教えをいただきたく、なにがしかのお返事をお願い申し上げます。
 このような事例については、市民の疑義に真摯に応えるお役所と、多くの市民などが同じ目的を目指す、恊働の仕組みで解決できるものと思うものです。

 貴自治体の動物愛護法(但し略称、以下同じ)等のご担当より、愛護動物の猫の致死処分又は駆除を目的にし、または猫の迷惑被害対策として、及び害獣駆除事業者又は請け負い事業者、あるいは上記などの者やそのほかから依頼を受けたなどの者、それらからの猫の引取を貴自治体が拒否しない理由を、動物愛護法第35条を根拠に執行している旨伝えられました。
 更に、猫の所有者あるいは占有者等ではない者に対して、猫の餌等を供する態様などからして、所有者等の権利を与えた上で、飼い主責務などを強く求め、自治体への引き取り申請を促される者もいるとの事です。猫の餌等を供する態様などから判断して、当該猫の所有権をその対象者に与える権限は、役所にも他にもありません。

 概ね以上の事例について、該当法などを調べたところ下記の通りですので、その一部を抜粋しました。法第35条の通り「その引取を拒否する事ができる。」ことが同法の立法の精神による、行政の執行施策と判断されることからの疑義教示のお願いです。

動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(抜粋)
(平成十八年一月二十日環境省令第一号)
最終改正:平成二五年八月二八日環境省令第一九号
 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成十七年法律第六十八号)の施行に伴い、並びに動物の愛護及び管理に関する法律 (昭和四十八年法律第百五号)の規定に基づき、及び同法を実施するため、動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の全部を改正する省令を次のように定める。
(犬猫の引取りを求める相当の事由がないと認められる場合)
第二十一条の二  法第三十五条第一項ただし書の環境省令で定める場合は、次のいずれかに該当する場合とする。ただし、次のいずれかに該当する場合であっても、生活環境の保全上の支障を防止するために必要と認められる場合については、この限りでない。
一  犬猫等販売業者から引取りを求められた場合
二  引取りを繰り返し求められた場合
三  子犬又は子猫の引取りを求められた場合であって、当該引取りを求める者が都道府県等からの繁殖を制限するための措置に関する指示に従っていない場合
四  犬又は猫の老齢又は疾病を理由として引取りを求められた場合
五  引取りを求める犬又は猫の飼養が困難であるとは認められない理由により引取りを求められた場合
六  あらかじめ引取りを求める犬又は猫の譲渡先を見つけるための取組を行っていない場合
七  前各号に掲げるもののほか、法第七条第四項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として都道府県等の条例、規則等に定める場合

動物の愛護及び管理に関する法律(抜粋)
(昭和四十八年十月一日法律第百五号)
(犬及び猫の引取り)
第三十五条  都道府県等(都道府県及び指定都市、地方自治法第二百五十二条の二十二第一項 の中核市(以下「中核市」という。)その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)は、犬又は猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。ただし、犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第七条第四項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。
2  前項本文の規定により都道府県等が犬又は猫を引き取る場合には、都道府県知事等(都道府県等の長をいう。以下同じ。)は、その犬又は猫を引き取るべき場所を指定することができる。
3  第一項本文及び前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。
4  都道府県知事等は、第一項本文(前項において準用する場合を含む。次項、第七項及び第八項において同じ。)の規定により引取りを行つた犬又は猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものについてはその所有者を発見し、当該所有者に返還するよう努めるとともに、所有者がいないと推測されるもの、所有者から引取りを求められたもの又は所有者の発見ができないものについてはその飼養を希望する者を募集し、当該希望する者に譲り渡すよう努めるものとする。
5  都道府県知事は、市町村(特別区を含む。)の長(指定都市、中核市及び第一項の政令で定める市の長を除く。)に対し、第一項本文の規定による犬又は猫の引取りに関し、必要な協力を求めることができる。
6  都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする団体その他の者に犬及び猫の引取り又は譲渡しを委託することができる。
7  環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、第一項本文の規定により引き取る場合の措置に関し必要な事項を定めることができる。
8  国は、都道府県等に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、第一項本文の引取りに関し、費用の一部を補助することができる。

動物の愛護及び管理に関する法律(抜粋)
(昭和四十八年十月一日法律第百五号)
(動物の所有者又は占有者の責務等)
第七条  動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。
2  動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うように努めなければならない。
3  動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
4  動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。
5  動物の所有者は、その所有する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、繁殖に関する適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
6  動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置として環境大臣が定めるものを講ずるように努めなければならない。
7  環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管に関しよるべき基準を定めることができる。

家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(抜粋)
第5 猫の飼養及び保管に関する基準
6 飼い主のいない猫を管理する場合には、不妊去勢手術を施して、周辺地域の住民の十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策など、周辺の生活環境及び引取り数の削減に配慮した管理を実施するよう努めること。

 貴自治体では、法第三十五条 3項の「(所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者)その他の者」を、猫の致死処分又は駆除を目的とした者、あるいは生活環境の保全上に係る等の猫の迷惑被害対策とする者、及び害獣駆除事業者又は請け負い事業者、もしくは猫の所有権を一方的に強く押し付けられた者の代理人などに置き換えています。
 同法では法第七条や法第三十五条1項を準用するため、前もって所有者の判明しない猫の致死処分或いは遺棄等を目的に、用具等を用い、捕獲あるいは保護又は確保などを行った者、例えば駆除や請け負い事業者、迷惑被害対策とする者などを、離脱有体物としての猫の所有者、占有者、取扱者などとの判断が想定されるため、終生飼養の責務が生じ、遺棄や殺傷、衰弱虐待は犯罪です。成猫の場合には、重い負傷や疾病を除き拾得は極めて困難です。
 致死処分を嫌った行政職員が、よそに猫を捨て放ち、遺棄犯罪を執行された事例も報道されました。猫の駆除を目的にする者や、その請負人や代理人などからの引き取り申請に応じて致死処分を実行する役所は、殺傷犯幇助を追求されても仕方有りません。
 また、法第三十五条の施行規則では、例えば事業者や請負人等から、二 引取りを繰り返し求められた場合 あるいは、五 引取りを求める犬又は猫の飼養が困難であるとは認められない理由により引取りを求められた場合 六 あらかじめ引取りを求める犬又は猫の譲渡先を見つけるための取組を行っていない場合、などが遵法ではないものと判断され、事業者や請負人及び代理人等からの引取を拒否することの根拠になります。

 法律施行規則 第二十一条の二 『生活環境の保全上の支障を防止するために必要と認められる場合』は、法第七条(動物の所有者又は占有者の責務等)に係る動物の所有者又は占有者からの引取を対象にしています。
 駆除や迷惑被害、請負人や代理人などの目的とする猫は、所有者又は占有者あるいは取扱者等の特定の困難な事態であり、法第七条に該当しないため対象から外れます。
 また、法第三十五条3項に「その他の者」と定めのない場合に、遺失物法を執行する警察、アニマルレスキューを取り入れている場合の消防、地域防災計画等に動物救護などを組み込んでいる災害救援隊などの行政組織等からの引き取りができません。行政は法の執行官ですから「その他の者」として、人と動物の共生に配慮しつつ、適切な措置を計画し行えます。

 猫は、人を死から守るための狂犬病予防法対象の犬と異なり、登録制にする法制度化の根拠が希薄のため、鑑札票等の装着義務も無く、見た目から直ぐに所有者等の有無の判断が困難です。致死処分を目的の捕獲や、請負人や代理人による持ち込みの際には、やがて所有占有者取扱者などの判明が想定される際などに、別途新たな問題が起ります。また、給餌の態様等からの判断で、所有権を強いられている場合等については、対象猫の適切な終生飼養に関わらざるを得ない者の、生活や財産権などを極めて強く侵害する恐れがあります。猫の一生涯に渡る適切な飼養を継続するために、多くの障害の克服が欠かせないこともその理由の一つです。

 貴自治体の愛護動物主務所管以外のセクションが、事業者やその他の者などに猫の駆除や排除を命じ、あるいは所有権等を強要しているのでしたら、法を超えた措置ですから行えません。
 法の定めにより知識を有するとされる愛護動物主務所管による、適切な措置や施策の執行が法令遵守です。
 例えば、猫による生活環境保全上の支障を防除するために、人と動物の共生に配慮しつつ計画される適切な行政施策の執行は、動物愛護法の第一条の目的や同二条の基本原則に準拠できます。

 貴自治体の、古くからの慣例に拘泥した、猫の致死処分や駆除を前提にする、法を超えた引取事務ではなく、法第七条のよるべき基準とされる「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」やそのほかに従った対策の実施に努めることが、遵法措置として行えます。

 おおむね以上などの疑義が寄せられているため、あらかじめ駆除や致死処分を目的として捕獲した猫の引き取りを行える根拠法令を、その該当条項を明確に示して教えてください。尚、当該条項等のない場合には、速やかに引き取りを拒否してください。

 また、冒頭の「このような事例については、市民の疑義に真摯に応えるお役所と、多くの市民などが同じ目的を目指す、恊働の仕組みで解決できるものと思うものです。」などに関する、貴自治体から市民協働活動等の実行についての、市民への問いかけなどの場合も、疑義教示のお返事と同じ下記の宛先に何がしかのご連絡をいただきたくお願い申し上げます。同じ目的を目指したいと思います。

以上

宛先住所氏名は冒頭の通り
Fax.は  ○○-○○○○-○○○○
電話は ○○-○○○○-○○○○







2014.03.(無断転載はご容赦ください。)

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