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 ● みみピアスの効用(地域ねこ)

 みみピアスは地域の野良猫問題に深い理解を示す獣医師さんと、地域のねこの擁護を心から願う市民が協同で考え出したもので、地域ねこ計画が行われているエリアのねこに装着されています。

 みみピアスの第一番目の役割は、多数頭のねこがテリトリーとしている限られた地域(ねこにとっての自然環境・人にあっては生活環境)の中で、ねこたちが人によって適切に愛護されていることの目印です。

 近年になって明らかになり始めたように、野良猫問題は人の生活環境の保全という極めて困難な問題を併せ持っています。このことは、国から発表された生物多様化国家戦略に含まれる移入動物抑止問題とも関連して取り沙汰され、動物の駆除か保護かという法律論争にまで及んでいます。
 自然環境や生活環境の保全を妨げないために、野生動物や愛護動物とどのように人が係わっていこうとするものなのかを国民は問いかけられています。

 自然環境や生活環境の中で、人は既に動物の生態を妨げてしまっています。動物の中には長い歴史をたどりながら、人の生活環境に溶けこんでいる動物がいます。人と身近な関係で暮すことになった犬やねこのほか、家畜と呼ばれる動物、競争馬や遊園牧場などの例にみられる多彩な産業用や展示用の動物など、生活環境に溶けこんで人のために働いている動物のカテゴリーは多岐に広がっています。

 各々の動物の生態や本能、生理、習性を充分に理解することができたとしても、すべての動物やねこが本来生息し、動物やねこにとって最も好ましい自然環境を、現代社会に暮す私たちの手で取り戻すことは現実問題として不可能です。
 人と人が人のための環境作りに努力を惜しまない歴史が続く限り、外で暮しているねこに対して、自然のままの姿で最も好ましい動物擁護の手段を、人の生活環境の中で人が行うことは極めて難しくなっています。
 ねこの立ち入りを禁止する公共の建物や地域があります。ねこへの給餌禁止を打ち出す地域があります。人の生活環境で暮すねこを殺し傷つける人がいます。法を超えた疑いのある措置にも係わらず、ねこの駆除を実行する自治体がなくなりません。
 このように人が人のために作り上げた人の生活環境の中では、ねこの生態や生理、習性を尊重し自然に近い姿で完璧に擁護することを望む人々は少なくないものの、社会生活の現実に直面した際に、表面だってねこを擁護することの道理を問われてしまうことも頻繁です。

 近代になり、人のために働くことになってしまった動物をその生態に配慮した上で、自然に近いまま完璧に擁護することは不可能に近い願いであることがわかり始めました。愛玩動物というカテゴリーの動物は、たびたび値段を付けて売買されていることからも、動物の命の尊厳の完璧な擁護が不可能に近いことの理由の一端をうかがい知ることができます。
 一度値段の付いてしまった動物を、本来の環境や生態に戻すことができない代りに、動物の福祉という方法が考えられました。愛玩動物を初めとする、人の生活環境の中で人のために働く動物の命の尊厳を人々が認めることを求めた、動物の福祉という考え方です。
 人の生活環境で暮す動物やねこを、自然に近い生態のままで擁護することは困難であるとしても、法律の上で命あるものであるとうたわれた、ねこの福祉という理念は受け入れられ易くなりました。

 動物福祉の理念を実行するためには、人の生活環境で定められ、すべての人が守らなければならない約束ごとにそって、だれでも行動することができる方法を考え出す必要があります。人のために人が定めた法律を上手に用いて、ねこの擁護や福祉の実行に役立てようとする考え方です。
 法律を用いてねこの擁護や福祉の実行を図る方法は、動物の愛護或いは保護及び管理などという言葉で書かれた法律で施行されています。法の精神にのっとり、各地方自治体の愛護動物管轄行政は、動物愛護の執行措置を計画することができます。
 人が作り上げた人のための生活環境の中で、お外暮らしをするすべてのねこの生態や習性などを考え、自然のままの命の尊厳を完璧に擁護することは極めて困難でした。しかし、人の理念にそった動物福祉という考えを実行する方法は、法治国家の遵法という原則からも見い出すことが出来ました。動物の愛護及び管理という方法です。

 ねこには狭い範囲をテリトリーにする生態があります。犬と異なり、人にも服従する集団行動の性質がねこにはありませんが、多数頭でも同じテリトリーで暮しています。このようなねこの生態を利用しながら、限られた地域の中でねこを適切に愛護管理する方法が地域ねこ計画といわれています。
 動物駆除や排除の考え方に代わり、ねこの命の尊厳を擁護しながら、人に対するねこからの侵害を防ぐ目的も併せ持つ手段であることから、地域行政でも動物愛護の遵法措置として取り入れ始めています。

 ねこ自身の行動からでは、狭い範囲の地域でねこが適切に愛護管理されているという事実を多くの人々に表明することができません。遵法の精神を尊んだ、人と動物との共生ということの実行を何らかの方法で表明することが必要になりました。
 人々の努力によってねこの命の尊厳が認められ、人との共存に配慮されることなどが地域の住民にも周知徹底されているねこには、地域に認められたねこであることの表明としての様々な方法の目印が、ねこ自身に表示されています。
 首輪、耳カット、糸リボン、入れ墨、マイクロチップ、着色、毛を剃るなどの方法が取り入れられ、みみピアスもその方法の一つです。それぞれの方法には一長一短がありますが、ねこの擁護を思い、福祉を尊び、愛護管理を適切に実行する際には欠かすことのできないポイントです。

 ねこからの侵害を訴える立場の住民の排除に努めながら、密かにねこの擁護を企てざるを得ない状況も数多く見られますが、ねこからの侵害を訴える立場の住民と相互に理解を深め、管轄行政などとも協働して行われる地域ねこ計画ではみみピアスを公認している自治体もあります。

 尚、外暮らしのねこが適切に愛護管理されていることが外見から判別できる表示と、飼いねこなどの逸走対策などで用いられる飼い主名入りの首輪やマイクロチップなどとは利用目的も異なっています。

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【解説】遵法による適切な動物愛護管理のポイント
●動物が命あるものであることにかんがみ、人との共生に配慮すること
●終生飼養(動物の一生涯に渡り飼い続けること)
●繁殖制限(飼い続けられないときには繁殖をコントロールすること)
●適性飼養(生態、本能習性生理を理解し、感染症の知識を持つこと)
●譲渡(やむを得ず譲るより他に方法がないときに限り適正な終生飼養者を求められる)
●遺棄罰則(動物を捨てる行為は犯罪・罰金実刑)
●衰弱虐待罰則(飼い主が動物を衰弱させるなどの虐待は犯罪・罰金実刑)
●殺傷罰則(動物を傷つけ、殺す行為は犯罪・懲役、罰金実刑)

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【参考】みみピアスならではの効用と課題
●外にいるねこが狩猟鳥獣(鳥獣保護法で定める駆除対象動物)とはならないことの明快な表明。
●飼いねこには装着しないので、外出自由の飼いねこではないことが外見から判別可能。
●原則として地域ねこ計画の実行が該当地域に広報されるので、ねこに感心の少ない住民などに対する告知に際し、可愛らしいなどの効果もあって周知徹底が容易。
●みみピアスの装着当初は繁殖制限手術が終わったことの外見からの目印としても併用されます。また地域ねこ計画の実行は該当地域に公表され、地域のねこすべての生態が終生に渡り掌握されるため、該当のねこに終生に渡り装着されている必要もありません。
●みみピアスは極めて小さなビーズなどを糸状のもので結び付ける細工が容易とはいえないので、熟練した獣医師からの情報交換や装着技術開発が続けられています。
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※どうぶつねっとニュースで配信された記事とは赤字部分の表記が異なっていますが、意図や主旨は変わりません。

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この頁は、ねこの保護あるいは愛護及び管理に基いた対策の参考です。2002.12.現在
ねこだすけ地域ねこインスペクターの手引より抜粋(無断転載はご容赦ください。)


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