千葉県我孫子市・命ある動物との関係づくり
「官民協働プログラム」物語
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2004年 平成16年7月更新
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自然の息吹もすがすがしく、憩いの広がる大きな緑地公園です。ねこもいました。
平成13年秋、「ねこのえさ箱を、掃除しないでください。」という訴えに市の公園係さん(仮の呼称です。)は、「えさをやらないでください。」という看板で応えました。
しかしその前に、えさを求める「ねこを捨てないで!!という方法も正しいのではありませんか?」という市民からの意見の持ち上がったことから、物語が始まります。
公園係さんが調べたところ、捨てねこも赤ちゃんねこも大勢に増えていました。ここで大きな問題が分かりました。
【動物愛護管理法(法と省略します。)で決めることのできる「愛護動物担当係」が、我孫子市にいなかったのです。】
公園係さんは、アイデアを探しました。「動物には命あるものであるから、人と共に生きることに心配りする」、などを法でも伝えていたことを、改めて見直してみました。
公園係さんは役人なのだから、法に従ったことを、「ねこと近い関係を保っている市民と協働して行えることについてのアイデアを大きくしよう。」と考えたようです。
平成14年に入り、人と動物との適切な関係づくりを思いながら、動物たちにやさしい行動を起こしている市民も、この緑地公園のことについて考え、集いました。
自治会にも思いを一緒にできようにお願いをしながら、地域コミュニテイの問題として、お役人とお話し合いのできることを願ったのです。
平成15年2月、第一回のお話し合いが、官民協働で行われました。その結果、市民もお役人にも、お互いに分からないことがらをたくさん抱えていることだけが明らかになりました。
今いるねこの排除が、根本的な解決にならないことと、そのためには市民の合意と協力の必要なことも確認されました。
そこで、一緒の思いで動き始めている自治会が、本当のことがらをアンケートで調べることになりました。
いつものアンケートでは、約700世帯中、10〜20%程の回収率ですが、今回は40%弱の住民が関心を寄せていることも分かりました。
約80%弱の住民は、ねこからの迷惑被害を受けていました。●ふん尿●臭い●侵入●物を傷つける●えさ・ゴミの散乱などです。しかし、その原因を◆人の無責任と身勝手・モラルのなさ◆飼い主のしつけのほか◆公的な呼び掛けがないこと、などと上げています。■動物は人を癒す■寿命が短い、大目にみて■やさしい気持ちで、などの少数意見もありました。
実際には、わざわざ市外からも、ねこの捨て場に困った飼い主が、置き去りにやって来るのです。同じように、市民以外の人たちもエサをあげているのです。
平成15年3月、アンケートの経過をうけて、第二回目のお話し合いです。
公園係さんは困り果てました。
公園があるので、好意的にご利用している住民は、ねこからの迷惑被害を訴えるものの、その原因を「モラルの低い、無責任に捨てる人」と思っていること。動物の飼い主の正しい飼い方などの責任を促せる、法的なセクションが市にはないこと、なども困った原因です。
市民からは、ねこを「嫌がる」と「捨てる」と「餌をやる」それぞれ、お互いの合意が大切、とする意見が出されました。
平成15年6月、アンケートの最終の集計が発表され、市から公園係さんを含めた複数のセクションも合体し、官民協働の第三回目のお話し合いで検討しました。
早い話しは、これ以上「ネコを捨てないで!!」です。市には愛護動物担当係がないので、「地域ねこプラン」などの具体的な措置を出せないから、市民が行う「協働」のプランに理解を表明するより他の方法も考えにくいのです。
市民からは、「ねこを地域で適切に管理する方法」の提案がされました。
緑地公園オリジナル「地域ねこプラン」です。ねこを管理する人たちをグループ制にすることで、捨てられて増えたねこと、飼い主のいるねこの区別も分かりやすくなる。
自治会と市とかかわることによって、捨てねこ違反をなくす行動がやりやすくなり、飼いねこの飼い主さんへ、正しいねこの飼い方を伝えやすくなる。その上で、ねこがこれ以上増えないための不妊去勢手術をする。
ねこからの迷惑被害を訴える市民からは、エサをやっている限り、そこにねこが捨てられるので、住民有志が行おうとしている不妊去勢手術の効果に大いに疑問がある、などの意見でした。
その後、平成16年1月の「懇談会」や、「野良猫を増やさない会議」などとして、3月までに8回の会議を行いました。
4月には、公園で市が開いた大きなイベントに、「官民協働プログラム」を知っていただくために参加し、公園に訪れた大勢の皆さまにデモンストレーションをしました。
4月以降もたびたび会議を開いています。
今は、公園内に市と自治会の記名入り看板が何ケ所も立てられています。きっかけになった「えさをやらないでください。」だけの看板は改善されました。
官民協働の動きは市議会にもかけられました。
ねこを管理する市民グループ・わんにゃんクラブ(※注 野良猫会を改称)も組織されました。
自治会と、わんにゃんクラブと市が協働で広報する目的のビラも作られました。公園内には数カ所の立派なねこトイレもあります。
愛護動物係というセクションのすごく不安定なお役所の中でも、人と動物との適切な関係づくりがすすみはじめています。この先々も、さまざまなできごとが待ち受けているかも知れません。
例えば、ビジネス活動に利用される動物の中からは、やがて人の手から放され、余剰動物と呼ばれてしまうねこもなくなりません。
人の暮らしに癒しや潤いを与えるといわれ、一生涯にわたって飼い続けなければいけないにもかかわらず、人の福祉の為の公設住居では、人との同居を拒まれてしまうねこもいます。
重大犯罪のきざしが、小動物への殺傷行為から知ることのできるという研究もされています。
緊急に起こる災害時には、被災する愛護動物の救済に心を痛める人たちも多くいます。
市の愛護動物係だけにとどまらず、警察や消防、教育機関などともお互いに情報交換や、連係をし合うお役所のシステムづくりが、地域コミュニテイを復活させ、やがては人の福祉につながります。
さまざまな問題を解決できるのは、とりもなおさず、人たちが持ち寄る「知恵」と思うのです。ねこに言葉が話せませんし、ねこには看板も読めません。
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