Q&A コーナー

アニマルウエルフェア連絡会・どうぶつネット・動物の法律を考える

●お問合せへ、概略のみですがご案内いたします。



◆この頁の関連情報は→ || 行政指導の落とし穴 ||


野良ねこ問題

 多頭数のねこを室内に入れ込んだ結果、さまざまな理由から適切な保護や管理ができなくなり、ねこの処遇方法が見つからなくなってしまう事例が多発しています。
 さまざまな理由の中でも、保護や管理していた方々の加齢化や病気入院などが状況を困難にしています。

行政指導が、野良ねこを室内に入れ込ませている一因?

●野良ねこには持ち主がいません。所有者や占有者などの飼い主がいてもいなくても野良ねこは法令上の愛護動物ですから、殺す目的の処分対策は困難です。

●野良ねこ苦情を受け付ける行政が、ねこの餌を差し出す行為に基づいて、特定されない多数の人々の中の1人に対して、ねこの持ち主権利の取得を強く求める場合があります。裏を返すと「所有の権利を無条件で与えるので、飼い主の義務を果たしなさい。」という理由からです。

●持ち主権利を持たないままの野良ねこ苦情対策の研究や実行も進み、地域の住民が主体となって行う通称「地域ねこ」対策も一部では浸透を始めました。ねこ個体の福祉や擁護を超えた、地域の環境保全活動と位置付けられています。

●ねこがテリトリーとして棲む地域の住民などが主体となって行う地域ねこ対策を取り入れていない行政は、飼い主の責任に限り追求を始めるため、野良ねこにも飼い主を決めなくてはいけなくなり、餌を差し出す不特定の行為者にその責任転嫁を図ります。

●責任転嫁の対象とされた人々は、他に方法の見つからないまま野良ねこを室内に入れ込みます。全国の至る所で、室内野良ねこが繰り返し発生しています。対象者が限られる場合には、多数頭が一ケ所に入れ込まれます。

●行政の強い指導に従って、野良ねこの飼い主に準じた人々は、ねこの終生飼養に関する労力や費用も共に負わされることになります。ねこの所有権の授与に伴い強いられる、個人の大きな負担が多頭飼養の行く末に課題を生み出しています。


行政裁量権の逸脱?

●行政のパンフレットや一部の条例には愛護動物を「飼い主のいる動物」と定義する場合もあります。法令上はねこを含む11種類の動物は飼い主の有無に関係なく愛護動物とされていますので、ねこを飼い主のいる動物と定めたパンフレットや条例は、行政裁量権を逸脱しているものと思われます。

●法の執行官である行政は、法令で定められている「人と関わりのある動物」からの、人への侵害に努めなくてはいけません。裁量権を逸脱する行政では、人と関わりのある野良ねこに餌を差し出す行為から判断して、持ち主権利を授与する裏返しに、飼い主責務を追求します。野良ねこ対策を、飼い主のいる動物対策と同一視する結果の不条理が生まれます。

●行政が野良ねこの持ち主権利を強いる措置を行う多くの場合には、野良ねこからの侵害苦情を訴える人と、野良ねこに餌を出すところに出くわした人と一対一の係争に発展しています。
 実社会では、野良ねこには不特定多数の人々が餌を出していると考えられ、その実態や人の特定も極めて困難で、多くの行政でも把握していません。餌を出す行為者を飼い主と特定する行政措置は、動物の飼い主責務の徹底実行につながらず、野良ねこ迷惑被害の解決策に結びついていまきません。


行政指導の勘違い

●行政が野良ねこに餌を差し出す行為を「飼い主」と指導することによって、餌を差し出す不特定の人々が目立たないように努めながら差し出し続ける、特異な社会現象が現実です。餌を出す行為の善悪や、その改善対策も大きな課題と考えられ、「餌やりの禁止」に代わる「餌の差し出し方」対策を取り入れた地域行政もありますが、未だ極めて少数です。
 古い過去を振り返っても、野良ねこと餌やり問題はねこが棲息する限り循環して継続しています。「餌やり」を包括して「飼い主」と決める指導に現実性の薄い理由です。今でも野良ねこ迷惑被害対策を「餌やりの禁止」に限る行政が多数です。野良ねこと餌と餌を差し出す人々との特異な社会現象問題は、行政の餌出し抑止対策にも関わらず限り無く続いています。
 人の環境に生きる本能を備えている「家ねこ種」の野良ねこは、どのような環境でも生態の循環を絶ちません。例え餌を差し出す人がいなくても、ねこが本来から持ち備えた本能や習性生態に従って繁殖を繰り返した歴史を持ち続けます。

●ねこに餌を与える人々を対象にする野良ねこ迷惑侵害対策に変わって、迷惑被害者も含めた地域住民が主体となって、迷惑を及ぼすねこの棲む環境の保全を図る対策が浸透し始めています。この対策の執られる行政地域では、ねこの餌を差し出す人々も地域の一員として対策に参加できます。



ねこを対象にする地域環境保全対策を取り入れない多くの行政は、「前例が無い」「知識や技術が無い」などをその理由にあげています。

※この項目は || 行政指導の落とし穴 || と関係しています。

 不適切な行政措置と思われる事例に巡り会うことがあり、数々の疑問が生まれます。行政マンが措置を行う元になる条例や広報資料などが不適切の原因と思われる際には、疑問に対して納得のできる回答も望みにくくなります。
 条例の改廃などに近い立場の議員に、改善の道案内をお願いする際には、不適切と思われる原因を議員に説明する機会もあります。この頁の内容は、議員さんへの説明の主旨を兼ねています。

07.08.初稿up



◆そのほかの関連項目は || 【Q&Aコーナー】もくじ || AWN連絡会などに寄せられるご質問より



 



2007.08.(無断転載はご容赦ください。)

AWN Q&Aもくじへ戻る
関連記事は、AWN どうぶつネットにゅーす
 → バックナンバー
------------------------------------



アニマルウエルフェア連絡会 どうぶつネット 動物の法律を考える
This page, and all contents, are Copyright "A.W.N. ".
このページの著作はアニマルウエルフェア連絡会に帰属します。