Q&A コーナー
  アニマルウエルフェア連絡会

※お問合せへ、概略のみですがご案内いたします。2008.h20.04.26up
 (この頁の内容は、随時の更新が予定されています。)

●動物置き去りなどと法令遵守
 法改正など法令の整備が求められます。

例えば、フェレットが日本に持ち込まれました。
外来動物ですが、月日が経つにつれてペット動物として流行したので多頭数が流通し、全国のいたるところで飼われます。

ある日ある時、道ばたに明らかに持ち主のいないフェレットがいます。
『このフェレットに出合った人はどうすればよいのでしょうか?』というご質問について…


[環境省に問い合わせたところ…]
『環境省は裁判所と違って法令違反等の犯罪行為を断定する立場に無い。最近はさまざまな法令などがインターネットからでも手に入るので、法令を読み進む人が法令などに従って解釈し、その判断で何かの事態にあたることも可能です。また、動物の種類によっては都道府県条例などで、対処の方法が決められている場合もあります。出合った時の態様などによっても対応の方法がさまざまなので、これという方法を決めつけられません。』ということでした。

[東京都では…]
『フェレットについては動物愛護法の愛護動物として判断されることを想定できるぐらいで、条例でも特別な既定はありません。上記のような状態にしないためにも、適切な飼い方の普及や啓発がそれ以前に大切です。』ということでした。

[法令を読み進んで想定される、解釈や判断の例]

●フェレットは外来生物ですが、国内で移入を始めたきっかけから判断すると、明らかに人(あるいは取り扱い業者)が所有か占有していたと思われるため、動物愛護法の適用も想定されます。

●遺失物法の逸走した家畜にあてはまると判断される場合も想定されます。


=愛護動物に想定した場合
 遺棄犯罪と、捨てた犯人の検挙は警察の管轄です。フェレットは犯罪の犯人が占有していた物件とも判断されるので、その場合には警察に提供する(=渡す)ことになります。

=逸走した愛護動物の場合
 逃がした飼い主には逃げた愛護動物を探す責任があるのですが、罰則のないこの「探す責任」を誰が厳しく追求できるのかあいまいです。例えば行政マンなのか、警察官なのか他の誰かなのか?

=遺失物法の逸走した家畜の場合
 警察に提供する(=渡す)ことになります。警察は「引き渡すことの適当な人」にさらに引き渡すこともできます。

=どちらの場合にも、
 動物愛護法に従う「都道府県のセンターなどが引き取りに応じる」ための根拠法令が希薄です。センターなどでは、犬とねこと負傷や疾病などと条例で決めた一部の動物の引き取りを法令に準じた申請と解釈する場合が多数ですから、フェレットの引き取りを断るものと思われます。

=外来生物法でフェレットは、
 現在は、極めて強く規制を受ける「特定外来生物」に指定されていません。指定に向けた知見を重ねているそうですが、既に野良フェレットらしき生態の発見も報告されています。

●フェレットが市民から警察に渡された場合に想定されることがら
=犬やねこと違い、都道府県のセンターなどでは警察からの申請でも引き取りを断れます。
=フェレットは日本固有の野生動物ではないので、棲息地への返還も困難です。
=警察には動物を保管する場所も、保管を職務にする職員も整っていません。
=動物を保管する場所や、保管を職務とする職員のいる行政機関やそのほかと、警察との連携の仕組みも整っていません。
=万が一フェレットの廃棄を想定する場合には、遺棄や殺傷の犯罪にあたると判断される恐れがあります。
=命ある動物ですから、対処方法の決まる迄の期間、適切な保護や管理が不可欠です。

 結局、現行の法令上では期間の長短に関係なく、フェレットを適切に保護管理するための根拠法令があいまいです。廃棄や致死処分を法令順守とする解釈も極めて困難です。

 現在の法令などの順守を試みるとき、持ち主のいないフェレットに出合った人に行政機関や警察やセンターなどでもどのように指導したらよいものか?判断に困ります。

 フェレットのほか、りくがめやへびなどを渡されて困り果てた警察や行政機関が、民家から離れたところに置き去ったなどの事例をなくすためには…

 占有者がいたと判断されながらも、置き去られるペット動物や愛護動物の適切な保護や管理に対応するための、法改正など法令の整備が求められます。

 例えば他産業の分野で行われる、社会貢献としての事業者の役割分担が増えています。動物に関係する産業に関る事業者は、動物取扱業のほか獣医師やペットフード、関連商品販売などの多岐に及びます。
 行き場を失う動物をなくすための法令整備とともに、企業の社会的使命を理念とした動物関連産業の連携による、適切な保護や管理の仕組みづくりが万が一試みられ出すとき、それは動物が命あるものとする極めて単純明解な発想からと思われます。

●動物の適切な保護や管理に対応するための、法改正など法令整備の基本的な考え(都道府県などの動物愛護センターで引き取らざるを得ない犯罪関連動物などに飼養の継続と飼養の機会を探すための方法として。)

【法改正の骨子・案】
●都道府県等の動物愛護センターでは終末処理を除く致死処分を原則として業務としないこと
●都道府県等の動物愛護センターの各種事業を民間に依託すること
●民間依託された動物愛護センターの施設維持や適切な保護や管理などの運営に係る費用などの不足分を、企業の社会的使命を理念とした動物関連産業の連携による拠出金などからまかなうこと

 例えは良く無いのですが、飲料業界のペットボトルリサイクルや、家電業界のリサイクルなどは法令整備と企業の社会的使命により行われているといわれます。

 各都道府県や自治体などでは、飼い主に対する適切な飼い方指導を主な対策に位置付ける場合が増えています。しかし適切な飼い方指導が不可欠ではあるものの、単なる飼い方の理念の普及や啓発は産業構造の変革に至りません。事業者はペット動物の品種を整えながら流通量を増やします。
 例えばロサンゼルス市条例では今年、処分されるペット対策の税支出を押さえる目的から、月齢4月以上のペット動物の繁殖制限手術を定めました。理念の普及や啓発を欠かせない自治体は、具体的で効果のはかれるアイデアで条例を策定できます。

 警察に渡された動物に命を続けるための法令順守の根拠が見つかりにくくなっています。人と動物との共生などといいながら、誰かから「役に立たなくなった」といわれてしまった動物の行き先がありません。



2008.04.(無断転載はご容赦ください。)

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