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 豊かな自然と歴史に彩られた尾道市。小さな命にむごい施策は好まれません。
 尾道市では、徘徊する犬が多いので、新年度から野犬追放駆除を本格化し、新型捕獲器を購入。などと新聞報道されました。「ユネスコの世界遺産登録を目指す住環境と景観の改善を狙い(野犬を追放し)イメージの回復に結び付ける。」などとも報道されています。しかし徘徊する犬の駆除を施策にする根拠が、順法の措置に見当たりません。


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さまざまな事項について・・・
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Q.住民苦情が多い??からという理由で、野良犬の終末処理は???

A.住民苦情が多いという理由は、法でいう「愛護動物を殺さなければならない場合」ではありません。住民苦情をなくす為の、野良犬を発生させない措置や、愛護動物に生存の機会を与える措置は順法措置です。地域行政は、法を超えた措置を行えません。法にない措置も行えないので、野良犬の終末処理を実行手段にはできませんが、住民苦情には対処しなければいけません。住民苦情が多いという理由で、短絡的な「愛護動物駆除(終末処理)措置」に結び付ける法律上の合理的な整合性がありません。

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Q.致死処分は必要悪??・・・

A.ノンキルシェルター(完璧な終生飼育の実行や介護の施設) ---------
 国内ではノンキルを理念として、限られた一部の市民などにより、動物の保管や飼養が細々と試みられています。先進といわれる海外で、完璧なノンキルシェルターは極めて稀です。

 引き取り動物に生存の機会を与える目的で、公的にシステム化されたアニマルシェルターの実行方法は、施設に限らず、その理念の施策措置すら、国内に無い!!、と言い切れる程の現実です。終生飼養を可能にするアニマルシェルターの、公的な運営態勢はありません。

 一部に市民との協働のきざしは感じられますが、公的に確立された施策措置にはなっていません。犬の適切な飼養者の育成や、譲渡システムを実行している自治体は少数です。

 致死処分の可否を話題にする以前に、行政サイドによる、引き取り動物に生存の機会を与えるシステムの構築は、極めて重要な課題です。

 生存の機会を与えるシステムを、広島県が整えているとはいえず、代替案の無い中で、致死処分の可否を問うことは、本質の解決になりません。

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Q.遺失物とは・・・

A.遺失物法や民法より --------------------------
 遺失物法は明治時代に作られたこともあり、愛護動物という言葉を使った法律に対応していません。さらに、同法では家畜という言葉を使っていますが、新しい法律の動物取扱業の規則では、愛護動物から畜産と実験動物を除いていることからも、安易な適用は困難です。
 遺失物法は、主に人間が財産権利などを有する物体等について、その財産権利の移動に伴うことがらや、保管方法や期間、規則などを定めています。このため、所有権者がなく、徘徊する愛護動物を仮に遺失物と仮定できたとしても、その捕獲や抑留などに関する事項は定められていません。
 尚、遺失物については、定められた期間の保管が規則されていますが、万が一遺失物と仮定された場合があったとしても、定められた期間の愛護動物の保管システムは全国的に確立されていません。

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Q.咬傷事故等、人への侵害を回避する責任は・・・

A.広島県動物愛護管理条例より --------------------------
 (事故発生時の措置) 第十四条 飼い犬又は特定動物が、人の生命又は身体に害を加えたときは、当該飼い犬又は特定動物の所有者は、その事実を知つた時から二十四時間以内に、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。
2 前項の場合において飼い犬が人をかんだときは、その飼い犬の所有者は、事故の発生の時から四十八時間以内に、その飼い犬を狂犬病の疑いの有無について獣医師に検診させなければならない。
3 飼い犬の所有者は、前項の規定による検診の結果が判明したときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。
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条例によると・・・
 咬傷事故等の責任は届出をうけた知事になります。
 そのような事態を発生させないために、飼い主などに対して事前の抑止や防止対策等の施策措置の実行も、知事が責任をもって行えます。
 しかし、事前の抑止や防止対策等の施策措置の実行を知事が怠り、年間数百頭もの徘徊する犬を発生させてしまったことが新聞報道されした。
 これらの犬を致死などの処分に付すには根拠法が見当たらず、現行法の適用では困難であることなどが提言された後、「検討中」とする情報もあります。
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Q.どうしろと?・・・行政にできること・・・

A.1.徘徊する、所有者不明犬を生み出さないための措置の実行。
  2.ノンキルシェルターシステムと致死処分施策、双方の概念への配慮と、順法措置の実行。
  3.行政による順法措置の実行にあたっては、所有権者の公私に係わらず、適正な終生飼養や繁殖制限の努め、遺棄・殺傷・衰弱虐待の回避、ヤムを得ない場合の譲渡努力などの順法措置及び、公的には以上を踏まえた、生存の機会を与える措置の構築。
 以上などやそのほかの順法事項などが、将来的な展望の下、有効に執行されることを目的に、行政施策として確立されない限り、どのような方法で捕獲や抑留を行っても、公益性に配慮された順法措置にはなり得ません。
 上記などが確立されていない事態において、「保護」の為の捕獲などというごまかしはいけません。
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Q.どうしろと?・・・尾道市では・・・

A.該当地に係わり原因とされる、犬の所有者の不適切な飼養や遺棄違反は、その事態に起因する人々が、尾道市民に限られているなどの特定はできません。県は、動物愛護管理条例を施行しています。
 不適切な飼養や、遺棄違反の抑止を図る、適切な実行や執行は、警察や教育庁とも連携した、県との協働が望まれます。
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Q.尾道市に、愛護動物行政の専門官は・・・

A.動物愛護管理条例や、愛護動物に関係する法規等に基づく、専門的に執行する行政官が、尾道市には置かれていないとする情報もあります。
 専門的な知識を有するなどの職員を置くことが先決ですが、その場合には、市制等に答申のできる、順法による審議会などの設定にも配慮されます。
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Q.愛護動物行政の専門官がいないのが事実なら・・・

A.市制の分権や県の公益性に配慮され、県の施策などとする包括的な措置も考えられ、県民や市民との、適切な協働計画も想定されます。
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Q.順法に配慮されない予算計上?・・・

A.新聞等で報道された予算案が実行された際に、万が一順法に当たらないと考える市民がいる場合には、税の使い道に係わる住民監査請求などを避けなければいけません。
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Q.世界遺産?・・・

A.市長も目指している世界遺産は、自然環境と文化の共生などという壮大なテーマも含みます。毎年数百頭もの愛護動物を殺さなければならない事態において、世界遺産との合理的な整合性がありません。
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【解説】遵法による適切な動物愛護管理のポイント
●動物が命あるものであることにかんがみ、人との共生に配慮すること
●終生飼養(動物の一生涯に渡り飼い続けること)
●繁殖制限(飼い続けられないときには繁殖をコントロールすること)
●適性飼養(生態、本能習性生理を理解し、感染症の知識を持つこと)
●譲渡(やむを得ず譲るより他に方法がないときに限り適正な終生飼養者を求められる)
●遺棄罰則(動物を捨てる行為は犯罪・罰金実刑)
●衰弱虐待罰則(飼い主が動物を衰弱させるなどの虐待は犯罪・罰金実刑)
●殺傷罰則(動物を傷つけ、殺す行為は犯罪・懲役、罰金実刑)

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