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世田谷ニャンニャングループ
[世田谷ニャンニャンとっぷ][世田谷わんにゃんパーティ概要]

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デジカメ1台とレポートを受け持たされたボランティアスタッフ、わんにゃんパーティヘルパーさんの
1st.世田谷わんにゃんパーティ レポート

 動物を飼っていてもいなくても、何らかの形で彼らに接し、知らず知らずのうちに心をなごまされている。そんな温かさを私たちに与えてくれる動物たちが置かれている状況は、決していいものとは言えない。人間のエゴがどれだけ動物たちを追い込んでいるか。多くの人々に動物との共生の大切さをわかってもらおうと、2000年6月4日「1st世田谷わんにゃんパーティ」が世田谷区粕谷芦花小学校体育館で開催された。

 小学校隣の団地内で地域猫活動をしている斉藤さんを中心に数ヶ月前から準備されていたが、初の試みだけに、開場ギリギリまで数十人のスタッフが準備に追われている。体育館の中は、各協会のパネルやフリーマーケットの品物、おみやげ、チラシなど、様々な物で埋め尽くされている。ボランティアのイベントと聞いて、勝手に貧相なイメージを描いていたのだが、まんまと覆された。これだけのメニューならば、訪れた人々はきっと飽きることなく時間を過ごせるだろう。

 体育館前の校庭では、野球少年たちが日曜練習に励んでいた。ワセネコ(わせだ地域猫の会)が寸劇用に用意した着ぐるみが会場の出入口付近をうろつきはじめると、子供たちは気が気でないらしく、練習に集中できないようだった。ゲーム世代にも着ぐるみという単純な見せ物が興味の対象になるとは、ほほえましいことだ。

 ふと気がつくと、STAFFバッジをつけていない人々が、場内の展示物に目を落としていた。時計を見ると、開場時間の10時を回ったばかりだった。日曜の朝だというのに、早くから足を運んでくれるとは、スタッフ冥利に尽きる! 彼らが見ていたのは、「里親募集」と「地域住民80人の自慢犬、自慢猫」。犬猫を飼いたい人なのか、単に通りすがって近所の犬猫が乗っているか確認していたのか。その後も目をやる度に誰かが立っていたこの2コーナーは、一般の人々が身近に感じられる題材だけに、今イベントの一番人気だったようだ。・・・ん?でも、そういえば、サンダルが並んだフリーマーケットも常に人だかりがあったな。絵本が陳列されたコーナーの前では、子供たちが座り込んで「星空のシロ」を読み込んでいたし。動物実験のパネルの前で涙ぐんでいる人もいた。カエルの解剖のパネルを指さして「これ何?」と質問する息子に一言も答えず、ただただ立ちすくんでいた男性がいたり・・・。どのコーナーも盛況だったということですね。

 着ぐるみ効果か、子供の数が増えはじめ、10時40分ころからワセネコの寸劇が始まった(ワセネコさんたちは、この後、時間を置いて2回、計3回演じた。お疲れさまでした!)。寸劇の内容は3つ。ノラのニャン吉が、飼い主の引っ越しのために置き去りにされた雌のニャン子に恋心を抱くが、“やっぱり捨てることなんてできないよ!”と飼い主がニャン子を連れて帰る。ニャン吉は失恋するもニャン子の幸せを願う「ノラのニャン吉純愛編」。不妊去勢手術をせずに餌だけをやっているおばさんが、増えてしまった子猫に匙を投げ、怪しげな里親サギに譲ろうとする「里親サギにご用心」。もう一つは、猫好きおばさんと猫嫌いおじさんのいざこざのせいで猫につけが回ってしまう様を描いたもの(すみません。タイトルわかりません)だ。残念だったのは、着ぐるみの犬猫たちの台詞はあらかじめ録音されていたため、スピーカーを通して聞こえたのだが、人間に扮する(といってももともと人間だが)学生たちの生声が通らなかったこと。小さい子たちにもわかるように作ってあったようなので、正直、もったいないなあと思ってしまった。

 寸劇が終わり、人もまばらになって場が落ち着いてくると、生ピアノのBGMがかかり始めた。宮本聖子さんと衣川由里江さんが奏でる調べに、思わずうっとり。厳しい現状を映すパネルも、心なしか和らいだ気持ちで見ることができるような気がする。

 団地の集会所を12時まで借りているらしく、そこで差し入れの昼食をいただく。赤飯のおにぎりやハンバーガーでいっぱいになったテーブルを囲んで、初対面のスタッフたちが会話を弾ませる。犬猫からダイエットや家族まで、多岐に渡る話題が飛び交うのを聞いているうちに、何の集まりだったかをふと忘れてしまう。年齢や社会的な立場を越えた会話というのは、こんなにも楽しいものだったかと感じさせるひとときだ。

 午後に入ってワセネコが再演。それが終わると、地域住民の余興が披露された。

 まずはフラダンス。ムームー姿の世田谷美女5名が、優雅な舞と満面の笑みで南国の香りを体育館に放つ。フラダンスが熟年層に人気だということは前々から知っていたが(実は私の母も習っている)、こうしてきちんと見るのは初めてだった。幸せを分けていただいてありがとう、と優しい気分になれることに感激。いやいや、本当に素晴らしかったです。

 お次は、高山健児さんという年齢不詳の歌手の卵。近日発売予定のオリジナル曲の熱唱された後、九ちゃんの「みあげてごらん夜の空を」をまたまた熱唱。そして締めはなんと!船長ハットをかぶっての「宇宙戦艦ヤマト」。熱唱×100倍ぐらいの熱さで会場を圧倒していた。近々、調布市のイメージソングを唄うらしい(が、彼がなぜこのイベントに参加されたのか、不可解に思った人は少なくないだろう。で、どうして???)。

 最後は、主催者・斎藤さんのお友達、VIBA坂口ファミリー(といってもご夫婦のみ)が登場。中学生の娘さんも参加するはずだったのだが、前日に修学旅行から戻り、ヘトヘトでリタイア。ご夫婦のお友だちが助っ人としてウッドベースを担いで参加し、3人の演奏に。名曲「スタンドバイミー」から始まり、2曲目はバラード、3曲目はパーワーウーマン♪パワーウーマン♪というフレーズが印象的なノリのいい女性賛歌。会場には女性が圧倒的に多かったこともあってか、手拍子したり足でリズムを取る人がいたりして盛り上がっていた。

 余興とイベントのテーマ自体には何の関係性も感じとれなかったが、動物との共生を実現させるに当たっては地域との関わりが非常に大切だ、ということを訴える手段の一つと考えれば良しとするのだろうなあ、とぼんやり思った。

 余興の後、ワセネコの再々演があり、14時40分からちょっとしたシンポジウムが始まった。作家の加藤由子さん、川端裕人さんの話に始まり、団地の会長さんやマスコミ関係者、地方議員のコメント、動物愛護団体の女性の実用的なアドバイスなどがあった。以下に各人のコメントを要約する。

 ●加藤由子さん

 ここでお話ししたいのは2つの事柄。まずは、“犬猫以外の動物のことを知ることで、犬猫のことがよく分かる”。日本を知るために海外に行く、と同じような発想です。彼らを肉食動物として広くとらえた場合、草食動物はどういう性質を持っているものなのか、犬と猫の間だけでも、集団と単独という差があります。動物学的に犬猫以外の生き物を知ることで、(自分たちが飼っている)犬猫への理解が深まるのです。

 もう1つは“動物と人間との関わり”。野性と家畜で何が違うか。野性は人間のそばでは生きていけない。家畜は人間のそばでないと生きていけない。猫に関しては、不妊去勢手術や室内飼いはかわいそうだという意見がありますが、彼らは野性ではない(“人間のそばでないと生きていけない”家畜の類に入る)から、それは間違ってはいないのです。

 どのように意見が食い違っても、みんな動物のことを考えていることには変わりないんです。喧嘩するエネルギーは違うところで使ってはどうでしょうか。

 ●川端裕人さん
 悲しいことに、野良猫を追い詰めているのは、実は猫好きの人たちなんですよね。そういうことを友人に話すと「日本人は無責任だから」と問題をすり替える奴とかがいるんだけど。じゃあ、海外はどうなのか。ニューヨークは野良猫がいないらしい。1年間ニューヨークに行く機会があったんで実際に野良猫を探してみたんです。本当にいない、すごいな、と思ったんですけど、実はいた。大通りではなく、ダウンタウンにわんさと。ただ、全体的には少ないかもしれません。理由は(1)市が捕獲して一週間で引き取り手がないと殺処分する(2)冬はかなり寒いので体力不足の猫は死んでしまう、の2点があります。(そのような厳しい状況のせいか)日本と違い、猫のレスキュー団体があります。殺処分されないように保護し、里親を探すのですが、だいたい里親になる人はすでに10匹ぐらいは抱えていますから、このような対策もいずれパンクしてしまうでしょう。ニューヨークでも野良猫の問題は深刻です。

 地域猫という活動は日本で生まれたもの。とにかく行動に移すというのは大切なことだと思いますが、ぼくはこんな活動は早くなくなっちゃえって思っています。理想は活動がなくなることだと。当分先のことになるとは思いますけど。

 ●町内会の会長さん

 斉藤さんが猫の世話をしているというのは、前から知っていました。あるとき団地の片隅に人だかりがあったんで、何かと思ってのぞいてみたら、みんなが猫を眺めている。私は猫好きじゃないけど、いい光景だなあと思いました。

 ●動物愛護団体の女性

 動物を飼うに当たっての実用的な内容。とにかくしつけが大切であると力説(犬猫を飼っていない私にはよくわかりませんでした。すみません)。

 ●マスコミの方々

 ○○新聞の男性記者:世田谷区議員・増田さんの取材にいらしたそうです。

 毎日新聞医療担当の男性記者:児玉さんの写真展や、動物実験をしていない化粧品に興味を持たれたそうです。

 ●日本捨猫防止会の太田代表

 私たちが活動をしていて一番多い質問は、猫ってどんな生き物なんですか?という基本的な質問なんです。本がたくさん出ているから見てください、と書籍名をお教えしたり、高価な本だったりすると購入してとも言えませんから、コピーをしてお送りしたりもします。独りではどうすることもできない人が増えてしまったようです。猫にとっていい街なら(人にも)いい街だと思います。

 ●世田谷区議会議員の増田信之さん

 今年の2月から始めた“ANOC(動物愛護地方議員の会)”というネットワークを発起しました。会に登録してもらう際に“動物愛護の運動は選挙には役立ちませんよ”と断っているのですが、3か月たった時点で、すでに約30人の議員が登録しています。これまでにも地方議会で各個人が活動をしていたのですが、お互いに連携を取りながら推進していこうという考えのもと、活動しています。当面は、それぞれが取り組んでいる政策の情報交換や、ボランティア団体などからの資料送付を行っていきます。よろしくお願いします。

 ●声優のたけだよしこさん

 FM世田谷(83.4MHz)で日曜午後3時から放送している“ペットフリーク大集合”のパーソナリティをしています。のぶちゃん(増田さん)から突然振られて恐縮ですが、チラシもたくさんいただきましたので、次回の放送で使わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ミニシンポジウムが終わり、閉場時間が近づいてきた。客席用のパイプ椅子が片付けられ、各協会のパネル、張り紙、チラシ、おみやげ、フリーマーケット用の品物がダンボール箱に詰められていく。数ヶ月間かけて準備されたイベントの最後は案外あっさりとしたもので、“はいっ、次いこう次!”といった感じだった。

 約800人の来場者を迎えた世田谷わんにゃんパーティは、想像以上にうまくいったような感じもするし、期待以上にはうまくいかなかった感じかもしれない。月並みだが、こういった活動を始めること、続けることによって地域の人々が何かを考えてくれ、やがて現実が理想に近づいていくのだろう。「早くなくなっちゃえばいい」(川端さん)が実現する日を、動物と人との素敵な共生を願いつつ、来年も?2ndパーティが開かれることを期待します。皆さん本当にお疲れさまでした!

 ※今回のイベントで少し気になることがあったので、書き足しておきます。

 (1)「動物を体育館に入れないでください」という場内アナウンスが何度となくかかりましたよね。小学校の施設だし、ちょっと考えればわかることですが、私自身そんなことには気がつかなかったし、実際に動物を抱えて入ってきた人たちもちらほら。「わんにゃん」とくれば、興味を示す人のなかに飼い主がいることは充分に考えられますよね。入室時に注意を促したほうがよかったのではないでしょうか(していたらすみません)。また、飼っている犬猫を場内に入れられる方向は考えられないのでしょうか・・・これはしつけの問題に発展してしまうのでしょうが。

 (2)近所の子たちが途切れずやってきて、おみやげのペットフードをもらっていましたよね。気になったので、もらってどうするの?と女の子に聞いたところ、自分の家にペットはいないけど飼っている友達にあげる、と言っていました。みんながそうなら問題ないけど、自分が子供だったら絶対近所でばらまいてみて、猫が来るか実験します。子供は好奇心旺盛ですから、というか、自分だったら絶対そうしたでしょう。ただ、そうしたことを通じて野良猫のことを知っていくという深い意味があれば、それはそれで良しとするのでしょうか。地域猫活動のチラシも持っていってくれているといいなあ、と思いました。

デジカメのキャプション
(順不同/主催者より注釈:雰囲気を感じていただけると有り難いです。)
1.動物実験しない化粧品の説明を受ける一般市民。
2.3.フリーマーケットは開場直後から大盛況。
4.AVA-netのパネルを見入る女性たち。今まで目にしたことのなかったのだろうか、随分長い時間そこに立っていた。
5.日本動物福祉協会のパネルを見る少女。
6.着ぐるみに群がる子供たち
7.ねこだすけのパネル
8.たまには違ったものを食べさせてみようかしら。おみやげに興味を示す犬連れの親子。
9.ワセネコの寸劇。ガンバレー
10.衝撃的なパネルの中の事実に、お父さんも開いた口がふさがらない。
11.ファイルを閲覧する女性(スタッフだった・・・)
12.子供たちには絵本や着ぐるみが効果的らしい
13.捨猫防止会のパネルを見て、親子で考える
14.野球の子たちは、おみやげだけもらって帰っていった。男の子って薄情なのかしら・・
15.ピアノの人+聞き入るワセネコ隊員
16.昼食。歓談のひととき。
17.相談コーナー。
18.ムームー姿の輝かしい女性陣。
21.この人は一度思い切り笑われてみるといいでしょう。
22.23.坂口ファミリー
24.生首のような装飾がいただけない
25.〜27.ミニシンポジウムの面々
28.29.いっせいに片付け。お疲れさまでしたー!!

展示物一覧(入り口から順に)

● 神奈川捨猫防止会/パネル、猫保護の実演
● ねこだすけ/パネル、アンケート用紙
● ねこネットワークくしもと/地域ねこポスター
● 動物愛護ネットワーク高知/動管センター写真
● 天使の心を守る会/パネル11点
● 日本動物福祉協会/パネル26点
● AVAnet/パネル36点、書籍数点、動物実験をしていない化粧品十数点
● ALIVE/パネル20+16点
● 日本愛玩動物協会ポスター
● 東京都衛生局ポスター
● フリーマーケット/サンダル等の靴がいっぱい
● ワセ猫/チラシ等資料
● 各協会市民グループなど閲覧用ファイル/26冊
● 里親募集
● 地域住民80人の自慢犬・自慢猫
● 堤みさ子さん/写真集数点
● 児玉小枝さん/動物たちのレクイエム(写真)27点
● 自然と動物を考える市民会議/パネル6点
● ご自由にお取りくださいチラシ/14グループ
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世田谷区立芦花小学校体育館(世田谷区粕谷)
平成12年6月4日(日)
地域ねこボランティアチーム
世田谷ニャンニャングループ
SLP/セービング・ライフ・パートナー
ねこだすけわんにゃんパーティチーム
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