Q&A コーナー

アニマルウエルフェア連絡会・どうぶつネット・動物の法律を考える



●主に世田谷区在住の皆さまから同様のご相談が多数よせられました。お問合せへ、概略のみですがご案内いたします。(2008.h20.02.19〜)


(枠内/2008.h20.04.26更新)
●詳しい関連情報サイトは→ |署名活動にご協力を!!|←クリック(※集約方式の署名用紙あり)

(枠内/2008.h20.03.12更新)

 東京世田谷区は、猫の耳に地域猫対策の手術済み目印をすると、メス10,000円、オス5,000円の不妊去勢手術助成金を支払うことができせん。

 世田谷区が不妊去勢手術費用助成金支払いの協定を結んだ動物病院では、手術済みの目印にマイクロチップを埋め込みます。
「マイクロチップ関連業界の普及促進策として、区民に埋め込み費用の負担がないから……」も、世田谷区が猫の耳に目印を付けない内容の協定を結んだ理由になっているようです。世田谷区が協定を結んだ動物病院は、区内で開業する約半数の病院に限られており、これらの病院では猫の耳に地域猫対策の手術済みの目印をしません。

 猫の耳に手術済みの目印をする動物病院で不妊去勢手術をすると、世田谷区から助成金の支払いを受けられません。



●この頁の下段に、世田谷区長宛てサインオンサンプルレター(署名欄入り文書)あります。


(2008.h20.02.19~)
東京世田谷区は、平成16年に「世田谷区人と動物との調和のとれた共生条例」を全国にさきがけて制定しました。同区は条例に従い「人と動物との調和のとれた共生推進プラン」を決めています。その中に「飼い主のいない猫との共生推進活動の普及」事業があります。同普及事業の中で、飼い主のいない猫を減らすための「飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用の助成」を平成20年2月1日から実施しました。(以下「飼い主のいない猫との共生推進活動」を「地域猫」とします。)

 東京都内にある1385動物病院のうち、世田谷区内にはおよそ111の動物病院があり、そのうち59の動物病院が社団法人東京都獣医師会世田谷支部に加盟しています。


 日本獣医師会が社会に向かって宣言し、倫理や責任を明確にした「獣医師の誓い(コピー)」です。

 犬とねこに限っても国内に2千数百万頭といわれ、マイクロチップはこれからの大きな市場になっており、多岐の方法で販売促進活動が展開されます。

 環境保全活動と位置付けられる地域猫活動で、世田谷区から飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用の助成をうける条件として、同区が措置とせざるを得ないマイクロチップ装着の義務と、外見からの識別措置の禁止は、社会的使命を果たし広範多岐にわたる社会の要請に応えようとする獣医師の職務の遂行を妨げるものとも判断されます。(2008.h20.04.26一部更新)



 世田谷区は、不妊・去勢手術費用の助成制度を実施するにあたり、区民がこの助成金をうけるときに、同加盟59の動物病院に限り制度を利用できる協定を同世田谷支部と結びました。その他の病院は利用できません。(病院数は平成19年現在)
 区は59の病院で行う手術のときに、「手術済みの猫である識別」の措置に区民が同意しなくてはいけないことを決めました。59の病院が認める手術済みの猫である識別は、手術時に装着するマイクロチップか猫の写真の添付です。いずれも外で暮らす飼い主のいない猫が手術済みなのかそうでないのかの識別、つまり見分けを外では行えない方法です。

 当連絡会が調べたところ、「地域猫対策中」の目印とされている入れ墨・耳カット(さくらカット・Vカット)・耳ピアス・糸結び・ペイントなどの識別方法を、加盟59の病院で行わないことを同会世田谷支部が取り決めました。区が助成金支払いの協定を結んだ病院で行う識別に首輪の装着もなく、マイクロチップか猫の写真の添付だけです。

 区では手術済みの識別としてマイクロチップと写真以外にも、見分けのできるさまざまな方法を採用していました。しかし、区の助成をうけて手術する区民は東京都獣医師会世田谷支部加盟59の病院の利用に限られるため、マイクロチップの装着は事実上の強制条件となっています。地域猫対策の目印とされる入れ墨・耳カット・耳ピアス・糸結び・ペイントなどの方法を動物病院で受けられません。



●区は、区内111の動物病院の中から、59の病院に限り助成を受けられる病院に決めました。
●助成対象の59の病院では、地域猫対策を外から見分けられる措置を行わず、マイクロチップを埋め込みます。
●地域猫対策を外から見分けられる措置を行うと、区からの助成をうけられません。


よせられている問い合わせ内容を整理すると…

●不妊・去勢手術費用の助成は、地域ねこ対策を行う区民活動の推進を目的にしています。制度を利用する区民には、手術対策の対象地域への説明の実施も決められていますので、地域環境の保全活動と位置付けられます。地域への説明を行う際には、外から見分けのできる識別の措置が有効になります。
 マイクロチップや写真以外に区民が必要と考える識別の目印は、手術の際の麻酔の間に猫に行います。例えば、区が協定を結んだ病院で助成をうけて手術した後に、他の病院に通院して麻酔をし、新たに目印をつけなくてはいけません。区民は複数の病院の通院と費用の出費を強いられますから、この方法が現実的とは思えません。
 外から見分けのできる識別を行う動物病院では区の助成をうけられません。

●区内では飼い主のいない猫の棲むエリアで、地域の人々とも同じ目的を目指す「地域猫対策」が既に行われています。このような社会活動に合意と理解を示す動物病院の中には、区が決めた助成額メス10,000円、オス5,000円と同程度の医療費で手術や見分けの措置を行うところもあります。
 区が協定を結んだそれぞれの病院の手術の値段は、区の決めた助成額のおよそ2倍ほどかそれ以上が平均的といわれています。
 区民にも利用できる範囲で開業している多数の動物病院の手術値段の中には、区の助成制度の利用が認められると仮定するとき、ほぼ手術費用の全額が補填される場合もあります。もちろんマイクロチップと写真以外の識別措置も可能です。今回の制度では、費用のほぼ全額が補填されることの想定される病院で、区の助成を利用できません。



 区民の公共活動への助成という観点から判断するとき、助成制度を「利用できる」ことと「利用できない」ことの「合理的な整合性」について、問い合わせがよせられています。

●区民の公共活動に対する助成という観点に限りません。地域ねこ対策に理解や合意を示している多くの動物病院で区の助成制度をうけられません。
 一部に限られた受益事業者を生む反面、助成をうけられないために不利益を被る多数の病院事業者も出てしまいます。具体的な事例では、例えば社会貢献を目的とした地域猫対策の手術に限りメス10,000円、オス5,000円で行っている病院が助成をうけられないとき、同じ目的でうけられる病院の得られるメス10,000円、オス5,000円が、うけられない病院の不利益になります。
 区民の立場からも、利益と不利益が生じます。社会貢献として地域ねこ対策の手術に限りメス10,000円、オス5,000円で行っている病院で助成を受けられるとき、区民の負担はなくなります。逆にメス30,000円オス15,000円の病院でしか助成がうけられないとき、メス10,000円、オス5,000円の病院と比べると、区民に10,000円づつの負担が増します。そのほかのさまざまな事態を思うとき、区が特定の病院に助成の対象を限定するひずみが現れます。
 区は制度実行の事務処理等の合理化対策として、同世田谷支部が助成金を代理受領するまでの期間「立て替える」ことを理由としています。手術時の各病院に対する同支部からの、メス10,000円、オス5,000円の金額のその都度の立て替え払いは各病院にされません。

●区が協定を結んだ59の病院の中には、地域ねこを推進する区民と、既に充分な信頼関係の保たれている獣医師がいます。今回の制度を発端に、手術の際の従来の識別措置を公然と行えなくなる恐れも疑われはじめています。

●猫や犬などのマイクロチップは飼い主の責任のあらわれであり、所有者や占有者のいる動物に対して、人々が保護や管理をする上で利用する器具です。飼い主のいない猫には、文字どおり所有者などや保護管理の責任の主体者もいません。それらの猫をだれかがお世話をしたとしても、その方が所有の権利を表明しないときに、持ち主権利を与える権限を役所もだれも持ちません。
 飼い主のいない猫の生態学などの専門的で学術的な追跡調査や研究の目的を除き、一般の動物病院で推奨するマイクロチップは、飼い主と猫の個体特定の関係に基づき用いられています。だれが猫の所有の権利を持つのかの判断の手段であり、所有権利の登録といえます。
 現在は飼い主のいない猫であっても、新しい飼い主の見つかる可能性も少なく有りません。その飼い主がマクロチップを必要と考えたときに装着して、所有権利の登録をしても何ら問題は起りません。

●地域猫対策を簡単にいいかえると、「外に棲む猫が迷惑な存在にならないように、猫の近くに暮らす人々がその対象の猫の生態や繁殖を、猫のテリトリーまるごと支配しよう。」という地域社会の保全活動です。外で猫を飼い馴らすものでもありませんから、猫の所有の権利義務を特定するマイクロチップにそれほどの評価はありません。

●地域ねこ対策や、外の猫の生態学に詳しい開業獣医師も極めて稀で、野良猫の捕まえ方や見分け方は、獣医師よりも地域猫対策に経験の多い区民が精通しています。

以上の問合せなどは、地域猫の現場からよせられたものです。



今後の課題

世田谷区に対して、「飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用の助成」に係る実施要綱改正を求める動きが活発になっています。

よせられた意見から

 繁殖制限手術対象の飼い主のいない猫を捕まえるのは、もっぱら猫の生態や習性などに詳しいといわれる区民有志の一部です。

 手術費用の負担や、ご近所の方々への対策のお知らせ活動も、猫を捕まえて通院させる区民が行います。猫を捕まえる用具なども区民が調達し、時には深夜にも及ぶ捕獲活動が行われます。捕獲活動の際に、既に手術を行った猫なのかどうかを識別する目的の措置や技術も開発されています。

 手術済みの猫である識別は、動物病院に通院する前の捕まえる時点に、外観からでも容易に見分けられる方法がとられ、手術済みの猫を2度3度と捕まえて通院させる恐れを省いています。

 マイクロチップと写真は事務的な管理の手段のため、有志の区民が猫を捕まえるときに見分ける目的を果たしません。動物病院で手術を行うか否かの判断作業の合理化に役立つだけです。区の助成金制度を利用できる59の動物病院では、マイクロチップと写真だけを採用し、そのほかの外から見分けのできる措置を行いません。

 飼い主のいない猫の助成金制度は、猫の棲む「地域環境の保全を行う区民の活動」を対象としています。

 世田谷区飼い主のいない猫との共生推進活動の普及事業による、飼い主のいない猫を減らすための「飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用の助成」を、区民と動物病院でうける仕組みについて多くの疑問があがりました。

●区が条例でも決めている、共生推進の普及を活動する区民が、区の助成金制度を利用して動物病院を選ぶき、59の病院に限るなどやそのほかのさまざまな条件をなくしてください。都内だけでも千数百を超え、区内に111もあるとされる動物病院中、事業者組織に加盟している59だけの病院に限るのは、法や条例の公平性や公共公益性との整合性が保たれません。

●区民が、区の助成金制度を利用して動物病院を選ぶとき、不妊去勢手術済みであることの外観からの見分け判断の行える措置や技術を採用する動物病院を選べるようにしてください。

●助成金の支払い先を、飼い主のいない猫を減らすための区民活動を進める、猫の棲む地域の「環境の保全活動にあたる区民の活動」を対象にしてください。

この案件に関して当連絡会は事実確認を進め、必要と思われる場合には世田谷区に対する当該措置実施要綱の改善要請を検討しております。

●区長宛のサインオンサンプルレターに署名用紙の提出宛先あります。
 (下の画像は縮小の見本)
 「署名入り文書見本」←クリック (.pdf形式6k、A4サイズ、モノクロ、原寸)
    ↓
 http://awn.sub.jp/awn/qa/pf_stgy_josei08.02.pdf


←画像のクリックでもプリントできます。


◆関連ホームページは >> 世田谷区トップページ >> 福祉・健康 >> 動物との共生 >>
 >> 飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用の一部助成 >>
 参考 >> 世田谷区人と動物との調和のとれた共生推進プラン >>
 参考 >> 世田谷区人と動物との調和のとれた共生に関する条例 >>



最終更新2008.02.(無断転載はご容赦ください。)

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