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●動物愛護管理法による、愛護動物のねこの捕獲駆除関係の情報です。(05.07.25.up)

 ねこの駆除事業に係わる疑義について、平成17年7月20日、国の主務所管より教えて(教示)いただきましたので、その概略です。

 また、地方自治体に関係する組織などで、組織的にねこの駆除活動を起すことも想定の範囲と言わざるをえない事態です。そのような場合に、「事業」を「駆除行動」と置き換えた際の「所感」を各項目に付記しました。

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国の愛護動物主務所管対する、疑義教示のお願いの内容
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1)人の環境にいる、所有者あるいは占有者の特定できないねこを、依頼により、捕獲用具を使用し、保管の後、当該地より排除あるいは駆除、もしくは遺棄の処分を行う事業は、動物取扱業か否か。

2)(1)の行為は、事業とするしないに関わらず、愛護動物に係る法令等の法令順守行為か否か。

3)(1)の態様による行為により保管されたねこは、愛護動物に係る法令等により、都道府県等の引取らなければならいねこに該当するねこか否か。

4)(1)の態様による行為は、愛護動物に係る法令等のほか、狩猟鳥獣や用具に係る法令、あるいは環境の保全に係る法令、生物多様性に係る法令等を勘案した際の、法令順守の行為なのか否か。

5)(1)の態様により保管する者が、捕獲用具等によりねこを傷つけ、あるいは衰弱させ、又は殺した場合、もしくは遺棄した場合、愛護動物に係る法令等の可罰的違法行為に該当するのか否か。

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教示の内容(教えていただいた答えの概略・但し聞き取り)

●重要● - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 
【所感】は、答えに基づいた見解であり、答えそのものと異なります。
 各項目の下段※印は、事業を「行政関与による市民の行為」などに置き換えた際の「所感」であり、答えそのもではありません。
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1)人の環境にいる、所有者あるいは占有者の特定できないねこを、依頼により、捕獲用具を使用し、保管の後、当該地より排除あるいは駆除、もしくは遺棄の処分を行う事業は、動物取扱業か否か。

  イ)今後は、改正新法により「保管」を動物取扱業と判断される場合も起こり得る。
  ロ)動物愛護管理法に、駆除事業はない。

【所感】動物取扱業にも動物愛護法本法の責務は適用される。例えば適正な終生飼養などやそのほか。
    立法の精神にかんがみて、ねこの駆除事業はないものと判断される。

※「事業」を「市民に実行を促す、行政などの間接的な指導措置」などと置き換えても、この疑義教示の遵用可能。(以下、置き換えは各項目に※印)

2)(1)の行為は、事業とするしないに関わらず、愛護動物に係る法令等の法令順守行為か否か。

  イ)事態、態様により行政裁量権に配慮される場合もあり、画一的な判断は困難。

【所感】画一的な判断の除外は、捕獲の態様等が、ねこのTNRプログラム(保護・手術・返還)の実行等において、法令順守の裁量権を行使する場合、などと判断され得る。

※役所による、ねこの駆除または排除の用に供する目的の、捕獲用具の保持や貸与の措置は、法令順守する場合、極めて困難。但し、手術後返還するTNRプログラムを除く。

※ねこのTNRプログラムやそのほかのプランの実行等(例・通称地域ねこプラン等)については、役所が、数十年もの長期に渡り、飼い主や取扱う者に対して、法に準拠した、ねこの保護及び管理に関する適切な措置を行っていない結果、のらねこを発生させている、行政不作為からの改善計画を含む。

3)(1)の態様による行為により保管されたねこは、愛護動物に係る法令等により、都道府県等の引取らなければならいねこに該当するねこか否か。

  イ)原則は、引取らないとする認識。
  ロ)自治体裁量権に係る引取らない際の実態の、全面的な否定ができていないのも現実。

【所感】犬及びねこの引取りの判断は、議会付帯決議事項より、「飼い主の終生飼養の責務に反し、やむを得ない事態としての所有権の放棄に伴う緊急避難措置として位置付けられるもの」である。よって、「引取らなければならない」に該当すると判断するのは困難。

※前もって排除や駆除を目的にし、捕獲された愛護動物のねこを、役所が引取るとした際に、立法の精神に準拠する根拠法がない。

4)(1)の態様による行為は、愛護動物に係る法令等のほか、狩猟鳥獣や用具に係る法令、あるいは環境の保全に係る法令、生物多様性に係る法令等を勘案した際の、法令順守の行為なのか否か。

  イ)1の項目と同様に、動物愛護法所管に、ねこの捕獲駆除はない。
  ロ)そのほかの法令の主務所管に係る案件に、愛護動物所管だけでは検討困難。

【所感】人の住環境のねこは、一義的に愛護動物とされる。よって駆除を法令順守の行為とするのは極めて困難。

※狩猟鳥獣とされる「ノネコ」の定義の遵用は困難であり、対応不能。

5)(1)の態様により保管する者が、捕獲用具等によりねこを傷つけ、あるいは衰弱させ、又は殺した場合、もしくは遺棄した場合、愛護動物に係る法令等の可罰的違法行為に該当するのか否か。

  イ)該当すると判断される場合もある。

【所感】一時的に保管する場合にも、保管する者は適正な終生飼育の責務を負う。
    一時的に保管した者が、ねこの譲り渡し先を極めて強く求める場合には、譲り受ける者の生活財産権利などを侵す恐れもある。(※注)

※該当すると判断されるとき、役所が、あえて違法行為者に寄与(ほう助)したと判断され得る。
※のらねこの譲り渡しは、極めて困難であり、非現実的である。

(※注)ねこの所有者や占有権者の態様に基づき、依頼され、所有権の放棄されたねこの終生保管を請け負うビジネスでは、1頭あたり数百万円を設定。(但し、譲り渡しを極めて強く求める場合に、生活財産権利等を侵す事態の判断の基礎的な標準の参考例として。)


そのほかの所感
 動物愛護管理法の立法の精神に準拠し、動物が命あるとかんがみて思い行う者の、思いや行いも、法令順守によりかばい守られる、とする判断や意見もある。

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【重要】所有者や占有者の判明しない愛護動物のねこへ、駆除や排除に代る措置があること。
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上記の事由などから、ねこの捕獲駆除を中止した回覧の例です。(平成17年6月頃)


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2005.07.(無断転載はご容赦ください。)

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