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ねこの健康とお医者さん


 動物関係のボランティアには、ねこの適切な飼い方以外に、ねこの病気についての診断を求められることがあります。
 不運にも、不幸といわれてしまうねこを保護して飼養している方に限らず、ねこを譲りうけた飼い主さんや、ペットのねこの飼い主さんなどさまざまの方々からです。(※ねこの健康や疾病対策については、項目別途)

 人間の体調不良と異なり、患者本人からの問診が不可能なねこの健康について、間接的な見聞情報だけで判断することも困難です。
 多数のねこの健康について、それぞれに対処した経験を持っているボランティアでも、専門の知識を有する獣医師ではありません。
 獣医師さんですら、治療する可能性の有る動物種の飼養の体験をし、診断を求めて来院する同種の動物に直接触れ、なお且つ適切な臨床経験なくして治療ができない、といわれるほどですから、ボランティアに症状を伝えた程度で、その動物に最も適切な治癒のアドバイスを得るのも困難と考えられます。
 飼い主さんなどの口伝えの間接的な情報では、ねこの健康についての適切な診断を下すことを控える獣医師さんの例も知らされています。

 しかし、ねこの健康維持のための給餌や給水、日常的な生活環境を整えること、生態や習性・生理のほか感染症の知識を持つこと、適切な飼い方のほか、飼い主のさまざまな事情に合った愛護や管理の方法などは、専門の知識を有する獣医師さん以外からも情報を得ることができます。
 また、排便や挙動、外観などから判断して、果たして健康なのか、なんらかの不調なのかを知ることもできますが、病気を治す方法は、専門の医療知識や技術を持つ獣医師さんの分野と考えられています。(※ねこの適切な飼い方や健康維持については、項目別途)

 獣医師さんは、動物の健康を維持し又は回復させるために通院する顧客や、動物の健康に責任をもたなければいけない顧客と動物との関係などについても、動物への治療と同様に社会的な責任を負わされています。
 ねこの体調になんらかの疾患が思われる際には、社会貢献に理解のある獣医師さんと巡り会う方法(※獣医師と巡り会う、は項目別途)と同様に、あらかじめ病院に電話などでお問い合わせすることもできます。
 近年では、人間の医療と同様にインフォームドコンセントの理念や、医療過誤や医療事故を防止する対策などを求める風潮が高まっており、個々の獣医さんに限らず、獣医師の事業者組織なども率先して改革をすすめているようです。

 主に疾病等の治癒や治療を目的に、信頼できる獣医師さんと巡り会うための目安も考えられています。
 ねこの数十種類にも及ぶ感染症や、ペット動物の産まれながらの疾病障害などは、人間がなんらかの目的を持って、それぞれの近い種を人為的に繁殖させるなどの結果、それまでになかった病気や障害、生理異常などを発生させたとされています。
 獣医師ならではの専門的な知識を持つ動物病院では、飼い主の通院させるねこへの適切な治療技術のほか、感染症などや新たな疾病の発生することを防ぐための飼い主指導も欠かせなくなっています。
 通院するねこや動物が、例え今は健康であったとしても、人の作用で意図的に種を繁殖させたり、そのほかの不適切な行為を動物に強いることにより、さまざまな疾病障害やそのほかの弊害(※例えば「生物多様性と環境保全」は、項目別途)を後世にもたらす恐れをあわせ持っています。
 これらからの実害を防ぐ専門的な知識や技術を獣医師は兼ね備えながら、獣医療に携ることになります。(※ねこの感染症や、近交劣化現象=近い種同士の人為的繁殖、などについては、項目別途)

 通院顧客と治療をうける動物と、動物病院との信頼関係を築く目安のひとつに、従来はタブー視されがちだった事柄を見直すこともあげられます。
 獣医師の社会貢献の一環として、このように知られることの少なかった身近な現実を、獣医療に積極的に取り込みながら運営される動物病院と巡り会うことも不可能ではありません。


近交劣化・雑種強勢


 文献などによりますと………、世界中の動物園のすべての動物についての個体血統登録情報交換システムを構築する動きが、公的な施設から始まっているようです。

 野生動植物に関係する環境保全の意識が高まるに従い、専門的な見識を持つ動物園では、野生動物を捕らえて展示した旧来システムの変革に向います。
 世界中の動物園のネットワーク間の、個体血統登録情報に基づき、必要が認められる際に、園内繁殖を行う方向に進んでいるようです。
 園内繁殖に係わる人々の知恵の下で、近交劣化現象や異常出産、そのほかの弊害などを防ぐ目的の、個体血統登録と考えられます。

 近交劣化(又は、近交退化)を簡単に言い換えると………、親子兄妹など、系統(血統)の密接な繁殖から、健康な個体が産まれにくいということで、逆を雑種強勢とされています。
 近い系統同士で繁殖することにより、生理・生態などに劣化現象が現れるとともに、疾病障害や感染症などが発生し易くなることからです。

 獣医学術書によると………、ねこの数十種類ともいわれる感染症などのうち、従来より世界中のノラネコと呼ばれるねこに見られた、危険性の少ないといわれた感染症は一種類だけだったとされています。

 その後海外では、ねこ繁殖施設、つまりキャテリーが増え続ける時代になりました。
 キャテリーでは長期間をかけて、ねこの系統が特定する種類に、人為的な繁殖生産を続けるといわれます。

 現在までに確認されている数十種類にものぼる感染症などのほとんどが、キャテリーからの臨床発症例として、獣医学の文献などに報告されています。近交劣化現象の事例です。
 感染症ウイルスなども、その対策用医薬品が人によって開発されるに従い、薬品などに対してより抵抗力が強く、免疫性の高いウイルス種にすすむことも知られています。

 ねこの感染症に限らず、専門的な知識を持たない者には外見から判断のつきにくい、産まれながらの生体障害を、ペット動物などが合わせ持って出産する可能性のなくならない時代にすすんでいます。

 今まで、場合によってはタブー視されがちだった事柄や、ビジネス社会の風潮に流されがちだった事柄を見つめ直す気運も出始めているようです。




2004.01.(無断転載はご容赦ください。)

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