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◆愛護動物に関する法令順守についてのご質問から…

◆AWN連絡会は『まぐまぐ』 の無料配信システムを利用してメールマガジンを発行しています。そのなかからご参考のバックナンバーです。



「法令順守」とマスメディア

 法令順守の抜け道を上手に使った「勝ち組」には、大きなリスクもあったようです。話題のニュースに、例えば「犬」の法令順守の抜け道ををあてはめてみると…
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 抜け道を見つけようとされる法律は主に、昭和25年に作られた狂犬病予防法、(※本文と罰則)と、同じく昭和48年以来の動物愛護管理法です。
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●【参考法令抜粋:狂犬病予防法】
第2章 通常措置(登録)
第4条 犬の所有者は、犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合にあっては、生後90を経過した日)から30日以内に、厚生省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する都道府県知事に市町村長を経て犬の登録を申請しなければならない。
3 犬の所有者は、前項の鑑札をその犬に着けておかなければならない。
(予防注射)
第5条 犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。以下同じ。)は、その犬について、厚生省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。
3 犬の所有者は、前項の注射済票をその犬に着けておかなければならない。
第5章 罰則
第27条 次の各号の一に該当するものは、20万円以下の罰金に処する。
第4条の規定に違反して犬の登録の申請をせず、鑑札を犬に着けず、又は届出をしなかった者
二 第5条の規定に違反して犬に予防注射を受けさせず、又は注射済票を着けなかった者
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 法令順守されない結果、遵法による行政執行が緩くなり、産まされる犬の数も増えます。数が増えると引き取り申請される犬やそのほかの愛護動物も比例して多くなります。
 人の役に立たなくなり、行き場に困って引き取り申請される犬やそのほかの愛護動物も、動物は命あるもの。
 命ある動物を守りかばおうと思い行う者たちへ、行き場に困りあるいは引き取り申請される犬やそのほかの愛護動物対策を委ねようという仕組みが、あたかも正当な方法と思われ、法律すら変えられます。
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●【※動物愛護管理法の改正部分の一部を引用】【(犬およびねこの引取り)の新旧比較。】「旧・動物の愛護を目的とする=公益法人=その他の者に引取りを委託」を「新・=団体=」に改正。
(※注)「公益法人」が「団体」に緩和され、動物の命を守りかばおうとする思いが一層行いやすくなり、行政による「終生飼養」が自ずと緩くなります。(平成18年6月までに施行)

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 犬は人に従う命ですから、飼いまたは扱う人の考え方と行い次第で、行き場に困り、引き取り申請される犬を出さないことも可能です。
 分かりやすい言葉では、「飼いまたは扱う人の責任の自覚と強化」ともいわれます。


 犬の躾訓練や、適切な飼い方の普及は欠かせませんが、先ずそのまえに…。
 自動車を運転するときに、「車検証があってナンバープレートの付いている車両と、運転免許証」が必要なことと同じに、犬を扱いまたは飼うときの法令順守責任の自覚が、マスメディアにも必要と思われるのです。


 先進海外がすべてにおいて優れている訳でもありませんが、例えば「動物に命ある」とするドイツでは、非常に多くの犬のトレーニング施設が供給されているそうです。
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●ホテルの改造は「道交法の制限速度を少し超えた程度」と、報道されました。
 速度違反にスライドした罰則などのほか、道交法は比較的良く知られています。
 動物の法律は知られていないため、違反でも「それなりの理由…」や「みんながやっている…」ですまされます。
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●耐震偽装を、行政の法令執行システムに責任転嫁して、新たな係争に発展。
 我が国では行政の動物に関係する法律の実行や執行のおろそかな事態が追求されることもありません。動物の法令の違法行為者が行政に責任転嫁することもありません。
 動物を引き取った行政が、引き渡したヒトから終生飼養などの法令順守を強く求められることもありません。
 動物を扱いまたは飼うヒトが法令順守しないために見捨てられる動物に対する責任は、主に動物を守りかばおうと思い、手を差し伸べる人々に向けられます。
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●証取法ほかの違反の理屈を、「人の心もお金で動くとゆうことを攻めるのは既得権のある人たち、お金で買えないことが差別を生む」とも。
 自由平等、自由経済社会ともいわれ、貧富や階級は問われてみないと感じることもありません。
 命ある犬を、お気軽に誰でも手に入れられ、愛玩に限らず、多彩なビジネスにも使われます。
 多彩なビジネスや、犬を人の役に立たせ、人のために働かせるなどの分野には、既得権めいた力も見えかくれしています。
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●一夫多妻を、断続的に続ける婚姻届けでカモフラージュしたそうです。
 犬を扱いあるいは飼う者に対して、登録ほかの法令順守義務はあるものの・・・
 登録は、「いわれてからでも遅くない」「いわれなければ分からなかった」などやそのほかの「それなりの理由」ですまされています。
 犬の登録監察票や、注射済票の小型室内愛玩犬への装着は「現実的ではない」などと言い放つ国家資格者もいるほどです。
 扱えなくなった犬の終生飼養を放棄し、新たな犬を所有しても、動物取扱事業は継続します。
 引き綱(リード)を断続的に付けたり外したりしながら、散歩させ運動させる飼い主さんはたくさんいます。
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 同じテーマのニュースが繰り返し取り上げられると、自ずと興味も増えるように、また会社の名前が広く知れ渡ると顧客も増えるように、さまざまな犬がテレビ、新聞、雑誌、ウェブ、ラジオほかのメディアをにぎわすと、人々の犬に対する関心も増えます。
 人々が犬に関心を持ち、需要を思うと、供給する実業の社会の力も強くなります。そこで、犬と法令順守の過去から現在までを見てみると・・・

 昭和48年に作られた動管法の立法の精神の中に、犬を飼いまたは取扱うすべての者に、手にした犬の「終生飼養」と、産ませても飼えないときの「繁殖制限」がありました。
 しかし過去も現在も、譲り渡しを目的にして産ませることに疑問の出されることもなく、この法令順守は話題にすらなりません。
 法律が作られてから数十年後の改正法では、法に基づくさまざまな制約を細かく増やし、産ませた犬を手に入れたり、手に入れた犬を人のために働かせ、人の役に立たせることや、更に産ませて増やし、譲り渡すことの制約も次第に穏やかに緩くなりました。既得権者を守るためでしょうか?

 命ある犬や動物は、その置かれる立場の違いがあっても、持って生まれた命は一義的に一つの分類と考えられるのですが、さまざまな立場の犬や愛護動物へ接する方法が、法によって具体的な分類に書き改められました。例えば家庭動物、愛がん動物、伴りょ動物、生態観察動物などやそのほかです。
  選べる犬の分類が増えるに従い、人の飼い方扱い方の制約も枝別れしながら細かく増えたので、基本の制約が次第に見逃されて緩くなり、人の役に立つ動物づくりが栄えます。人の役に立つ動物づくりが栄えるとき、行き場を失う動物たちのなくならない歴史が繰り返します。

 昨年の愛護動物に関係する法の見直しでは、立法の精神に少しだけ立ち戻る改正案も出されましたが、手にした犬の終生飼養と、産ませても飼えないときの繁殖制限には大きな抵抗もあったようで、リィガルマインド(法の精神)もトーンダウンです。(動物愛護管理法の改正新法は、本年6月までに施行されます。)

 国内で既に生きている2千数百万頭ともいわれる犬やねこを飼い扱う人々へ、ある日から突然強く厳しく法を執行するのは、いわゆる既得権への心配りもあって現実的とも思えません。
 そのような現実の中で、環境を侵す恐れのある動物を、人が国内に持ち込みにくくする制約を盛り込んだ外来生物法が昨年作られました。「今の状態は仕方がないので、せめてこれ以上増やさないことにしませんか」?、とも受け止められます。

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犬の法令順守のエピソード
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●公平、公共、公益、中立などが看板のテレビ局で、犬のドラマを放映する前のこと。局員が狂犬病予防法の法令順守について、極めて強い反論と抵抗…。「それなりの理由…」から、と。
 時期を改めて、犬のドキュメンタリー放映後の担当局員は…。狂犬病予防法と動物愛護法の遵法措置について、自身の「法令順守の知識不足」をふりかえった。

●世界を市場にシェアを誇る企業の広告では、「狂犬病予防法の罰則について、法律家を交えて調べたところ、広告でも同法違反にならない特別な除外措置はなかった。」と。つまり法令順守していなかったことがわかる。企業側とメディア側の行き違いなのか?あるいは、「みんながやっている…」し、「チョットのスピード違反」か?

●動物取扱業(但し、行政の認める取扱業かどうかは不明)の招いたサーカス団の犬やねこが、海外から来日したのは2年ほど前とのこと。やがて事業の影響からか、犬やねこの帰国費用のないことが報道され、動物たちの適切な保護や管理も心配に…。
 この際にも、法令を執行する行政などが、命ある動物たちに関わった商人などの責任を、積極的に強く求めることもなく、動物を守りかばおうと思い行う者たちに、その責任が転嫁されました。帰国費用の募金や、動物の適切な保護管理に関することがらなどです。
 募金はメディアの力も得て集まりますが、動物を人のために働かせ人の役に立たせようと思い、行った商人などの「法令順守」責任や、そうのような人に対する行政執行などについての詳しい報道は…???


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 犬に限らず、人のために働き、人の役に立つ動物たちはさまざまなスタイルで供給され続けています。
 人と動物との適切な関係づくりを考えるとき、さまざまな現実を目の当たりにします。
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2006.02.up

 



2006.02.(無断転載はご容赦ください。)

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