Q&A コーナー

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Q 地域ねこ計画と「えさやるな」「お家に連れ帰れ」 A
トラップニューターリターン(TNR・保護・手術・返還)と『地域との協働』

 お外暮らしのねこたちを、快く思われない人がだーれもいなくって、ねこからの侵害を訴える住民もいないし、ねこたちの健康がそこなわれることもない、などというお外暮らしのねこたちのテリトリーが、もしあったとしたら、地域ねこ計画などという活動もいらないと思うのです。‥‥しかし、、、


 地域ねこ計画がすすむに従い、外で暮すねこに対する「地域行政の協力」や、「手術介護医療の支援」、「動物ボランティアの連携」が、今までよりも確実に、あるいはあらためて大きくなった事例が増えました。

 活動はすすんでいるのに「ねこを快く思われない方々」からの苦言や、様々な障害の言葉もあらわになってしまい、さあて、どうしたらよいのか?などの相談が毎日のように寄せられます。

●主な内容は‥‥、、、
 地域行政と獣医師とボランティアが同じ意識の下で、多数のねこに「トラップニューターリターン(TNR・保護・手術・返還)」を施した。その活動内容のリリースもそれなりに行った。

 長期活動の結果‥‥、数年前は数十頭のねこがいたのに、目に見えてその数が減った。地域行政も医師もボランティアも結果には自信を持ち、協力し合いながら活動の継続に努めている。

 ・・・それなのに、なぜ住民(ねこからの侵害や防除を訴える人々)の理解が得られないのか?? という大きな疑問の中で、対応方法に相談を求められることが増えました。

●答えは案外身近なところに潜んでいます。‥‥
 「地域ねこ計画チーム」が当初から片寄ってしまった。つまり、「地域住民と協働」する活動(=いのちにやさしいまちづくり)、というテーマの一部が満たされていなかったことも、案外に多いのです。


 苦言への対応に悩む地域ねこ計画チームを第三者的な立場から振り返ってみますと、チームを支える行政も医師も、活動を実行するボランティアも全員が「ねことの共生」を目指す立場の方々で形作られ、活動日数が深まるに連れて、ねこに思いを寄せる方々の絆が強くなっていくケースが多いようです。

 地域行政からの助成金が得られている場合などのトラップニューターリターン(お外のねこ対策)計画は、行政・ボランティア・医師の関係が深まり、さらに加速度が増して、よりよい方向に強くすすみ出します。

 行政や医師などの後押しは、計画実行の為になかなか取り付けにくいものですが、協力を得られた時には地域のねこに対する活動がスムーズにスピードを加えて進み始めます。そうなると、ねこに思いを寄せる皆さまもさまざまな形で集まり易くなっていき、その結果、活動が地域社会の目に触れやすくなり、裏腹な「えさやるな」の声も、より多く聞かされ始めるので、対応に困った多数の「駆け込み?相談」につながっているようです。

 トラップニューターリターンの日常的な活動の姿が地域で目に付きはじめると、ねこからの侵害や防除を訴える多くの人々の目にもとまり、さまざまな意見の調整もしなくてはいけなくなります。

 当初の計画段階からの地域ねこ計画に、「ねこを快く思われない方々との協働」というテーマが見逃されていることにも原因するため、活動が大きくなるにつれて、ねこからの侵害を訴える人々に、トラップニューターリターンの日常的な活動の姿が目立つことになり、さまざまな言葉も届きます。

●「ねこを快く思われない方々との協働」を満たしながら、地域ねこ計画をすすめることは困難なことではありませんが、地域行政の協力や後押しを取り付けただけで、ねこのテリトリーで暮し、ねこを快く思われない方々の賛同も得たことと直結していません。

 行政の協力や後押しのある活動なので、ねこを快く思われない方々も協働できるということを、前もって具体的な実行計画にとり入れる、事前の準備と活動がポイントになっています。

 地域ねこチームが行うトラップニューターリターン活動は、エリアが100箇所あればその方法も100通りあるともいわれますが、ねこからの侵害を訴える方々との事前の調整は、欠かせない重要なポイントにもなっています。

 前もって「ねこを快く思われない方々」を実行計画に取り入れるためには、地域行政の協力を取り付けたときに使用した実行計画案を、ねこの侵害を訴える皆さまにも提案し、適切な認識と理解を得るだけです。

 言葉だけでは感情論に終始することも少なくありません。また、動物愛護の理念や真実の精神の礎などを切実に訴えることよりも、トラップニューターリターンの効果と、そうせざるを得ない根拠を、簡潔明瞭で且つ事務的な内容で、程々の読みやすいペーパーに仕上げる方法がよいようです。ペーパーは有効に一人歩きすることもあります。

 この、ペーパー提案のお相手となる「ねこを快く思われない」方々のリサーチも欠かせません。せいぜいねこがテリトリーにする狭い範囲ですから、リサーチもそれ程の重労働にはなりません。リサーチの手段として、事前にチラシなどで広報を行うこともあります。広報を行うことによって、「捨てねこが増えるのでは‥」とか、「えさやりだけがオープンになり、今までよりもルールが乱れるのでは‥」などの心配も起こるようですが、侵害・防除を訴える方や、ねこを捨てる者や、あるいは不適切に飼っている飼い主のほか、えさだけを与えている方々などに対しても、活動の本来の意味合いを相互に理解し、認識してもらうことのほうが、将来に渡って重要になっています。

●上手に地域ねこ計画をすすめたボランティアさんのひとりは、「環境衛生」と「動物愛護」の両面から「町内会」と手をたずさえて・・、をテーマにしました。
●ねこさんは人の生活も言葉も知りません。ねこさんの代弁者になります・・、をテーマにしたボランティアさんは地域の皆さまへ、たった二言を問いかけます。「ねこさんの餌場やトイレはどこならいいのですか?」「どこには、立ち入らない方がいいのですか?」このたった二言を、やがてねこさんが胸をはって暮らすための最初の一歩、といいます。

 古い歴史をさかのぼると、ねこは今盛んに生物多様性として問題視されている、在来種と移入種の関係のルーツを思わせます。狭い地域で暮す人々の目の前で、新たな生物多様性問題が毎日繰り返されます。人のために役にたち、人のために働いたねこも、ねこに接する人々の都合や立場で見直したときに、駆逐されるべき動物と位置付けされかねませんが、駆逐される動物とする根拠法もありません。

●東京都では数年前から、保護動物(現・愛護動物)のねこに対する、従来からの行政不作為(法に従った適切な施策をしない。注1)と、法を超える恐れの有る措置(注2)の改善を目指して、有識者などによる諮問と答申を経て、次のような方針を出しました。

【飼いねこの飼い主に対して示した「ねこの飼い方3原則」‥‥】
  ●繁殖制限 ●身元の表示 ●室内飼育

 その結果、今既に生きている「飼い主のいないねこ」が狩猟鳥獣(駆除・防除対象動物)と位置付けられることを恐れた都民から大きな疑問と心配が持ち上がりました。(愛護動物/旧保護動物/の法律が制定された古い過去を思うと、ほんの数年前のことです。)

 しかし、当時は既にトラップニューターリターン、つまり地域ねこ計画の前段になる、野良ねこの保護・手術・返還の方法が、多くの都民の努力で、長期間に渡り行われていました。

 その実行事態をうけた東京都では「飼い主のいない猫との共生モデルプラン」つまり、地域ねこ計画を行政施策に取り入れ、外のねこに対する、法を超えた措置の実行という心配のないことを表明しました。

 この施策の実行に際して資金の助成はありませんし、医師との積極的な協働体制もありません。また、煩雑な申請書式もいりません。やるかやらないかは、ねこに思いを寄せる都民の努力次第ということもできます。(モデルプランですから期間が有り、当初案では平成16年3月までとされています。また、3月までに認定を受けた地域はその時期から1年間継続します。)

 モデルプラン地域の認定には、ねこがテリトリーにする環境で暮らし、ねこからの侵害を訴える住民との協働と、同じくその環境で暮らす、飼いねこの飼い主への周知徹底という事前の活動が大きな要素を含んでいます。

 それらの大切な要素が満たされ、地域の住民組織や管轄の市区町村から共に推挙され、地域住民やねこに思いを寄せる有志が協働で活動を展開できる際に、都は飼い主のいないねこの繁殖制限手術費用の負担を住民に負わせない、というものです。都には獣医師資格を持つ職員がいるからです。尚、この際の手術医療技術指導等には、民間の医師等も積極的に協調し関わっています。

 地域ねこ計画は、ねこからの侵害を訴える住民との協働活動ですから「えさやるな」「よそへ連れ帰れ」の苦情が原則としてありません。
 飼いねこの飼い主にも周知徹底されるので、手術していないねこの徘徊を防ぎ、飼い主による繁殖制限や室内飼育・身元の表示ができやすくなります。
 都の行政施策ですから、可罰的違法行為つまり捨てねこ違反や、殺傷違反の抑止に地元警察の協力をあおぐことができます。

 全国で古くから行われていた、地域行政と協力医師と有志による「トラップ・ニューター・リターン」方式に、「ねこからの侵害・防除を訴える住民との協働」と「飼いねこの飼い主への周知徹底」をあらかじめ取り入れた方法が、「地域ねこ計画」といえます。

 東京都民が「トラップ・ニューター・リターン」方式を実行している際には、「飼い主のいない猫との共生モデルプラン=地域ねこ計画」の実行に、極めて近いところに位置するといえます。(モデルプランの終了まで、残りの時間は多くありません。)

 もちろん、ねこからの侵害を訴える人がいない、または訴えられてもその都度解決のできているエリアでは、なにがなんでも前もって「ねこを快く思われない方々」と協働することを強いるものではありませんから、モデルプラン認定以外の方法でも構わないのです。「野良ねこ対策は、100箇所あれば100通り」の所以です。

 冒頭に記した通り、「お外暮らしのねこたちを、快く思われない人がだれもいなくって、ねこからの侵害を訴える住民もいないし、ねこたちの健康がそこなわれることもないという、お外暮らしのねこたちのテリトリー」では、地域ねこ計画などという活動もいらないです。

 地球に土地と空気が続く限り、また、ねこが人の役に立ち、あるいは人の為に働く動物として扱われる限り、野良ねこ問題は連鎖し循環します。ねこからの侵害を訴える方々や、飼いねこの飼い主さんとも協働し、ねこに思いを寄せる人たちが協力し合う努力が、人とすべてのねことの共生にむかう道と考えられるのです。

【注1・注2】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

愛護動物主務所管による行政不作為とは‥‥
 主に、適正な終生飼養・繁殖制限・みだりな譲渡(自ら適正な終生飼養を目的としない、人為的な繁殖)・遺棄違反・殺傷違反・衰弱虐待違反などの責務の推進と防除対策を行わなかった。または怠った。


法を超える恐れの有る措置とは‥‥
 ねこを狩猟鳥獣(駆除対象動物)とする、捕獲後の致死処分措置。尚、外ねこの発生は、長期間に及ぶ行政不作為に起因するともいわれる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●トラップニューターリターン(TNR)活動の中で、
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'03.10.up(資料提供/NPOねこだすけ)
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